アンガーマネジメント研修の目的と内容

怒りの感情をコントロールし、組織を円滑にするアンガーマネジメントのスキルを学ぶ

アンガーマネジメントとは

 アンガーマネジメントとは、1970年代にアメリカで考案され、当初はカウンセラーやセラピストたちの間で怒りの感情と上手に付き合うためのプログラムとして認識されていました。その後、軽犯罪を犯した人に対する矯正教育プログラムとして採用され効果を上げたことから注目されるようになりました。アンガーマネジメントは、怒りの感情と上手に付き合うための心理教育・心理トレーニングで、「怒り」そのものを悪と見なして、怒らないようにするということを目的としている訳ではありません。上手に付き合わなければならないのは、怒りは自然な感情であり、適切に管理されれば、自分自身を向上させるための要因となる一方、制御されない怒りは対人関係の問題や職場でのトラブル、さらには法的な問題を引き起こす可能性もあるからです。

 

研修の狙い

  • 怒りやイライラのストレス感情の仕組みを理解する
  • 怒りの感情をコントロールし、怒りに対する対処法を身につける
  • 自己管理力を高め、個々の仕事力アップや周囲との信頼関係向上につなげる

プログラム

※内容は、貴社のご要望に応じ、カスタマイズが可能です。
※時間の目安は10:00~17:00です。

1.アンガーマネジメントとは

(1)アンガーマネジメントが必要とされる背景
(2)怒りの気持ちが含んでいる対応による問題点
(3)怒りにより失うもの

2.怒りの感情とは

(1)今までに自身が感じた怒り【ディスカッション】
(2)人はなぜ怒りの感情を持つのか
(3)感情の一部である怒り
(4)怒りのプラスの局面

3.自分の感情傾向を知る

(1)自身のタイプ別【チェック】
(2)自身のコミュニケーション傾向
(3)自身の怒りの傾向【ディスカッション】

4.怒りに対する対処法【ディスカッション】

(1)まずは怒りの感情に気づく
(2)怒りに対して時間をおく
(3)怒りの視覚化
(4)様々な対処法を知る

5.怒り感情の体質改善術【ディスカッション】

(1)怒りの理由を考える
(2)コアビリーフと怒り
(3)リフレーミングで怒りを考える
(4)怒る前に怒りの感情をコントロールする

6.まとめ

アンガーマネジメント研修の目的と内容

1.アンガーマネジメントが日本で注目されるようになった理由

アンガーマネジメントが注目されている背景は、働き方改革などに象徴される「働く人の価値観」が多様化したことにあると言われています。現在日本では、ビジネスの分野、医療の世界、青少年教育、人間関係のカウンセリング、アスリートのメンタルトレーニングなどの分野で幅広くアンガーマネジメントは活用されています。

 

2.アンガーマネジメント研修の目的と内容

(1)アンガーマネジメントを身に付ける目的(メリット)

①多様な価値観へ寛容な姿勢になる
怒りの発生と対象への行動は、その人の人生経験の中で、学習あるいは身につけた価値観に影響されます。例えば「部下は上司より早く帰るべきではない」や「営業は足で稼ぐものなので、事務所に長くいるべきではない」など、今ではそれほど聞かなくなりましたが、30年ほど前なら、上司が部下に対してよく言っていた言葉で、当時は社会的に認められたある価値観の一つだったと言えます。「〇〇すべき」「○○すべきではない」という怒りは、非常に注意が必要です。「べき」は時代や環境によって変化することを覚えておかなければなりません。又、「ダイバーシティ(多様な人材を積極的に活用しようという考え方)」や「インクルージョン(多様な人々が対等に関わりあいながら一体化している状態)」は、異なる価値観を認め合うことによって達成されます。アンガーマネジメントを学ぶことで、自分がどういう価値観に基づいているのかを伝え、同時に相手の言い分をよく聞き、その違いをそのまま受け入れるが出来るようになり、自分自身の視野を広げ、しなやかに人間関係を築くことができるようになります。

②パワーハラスメント防止に役立つ
パワーハラスメントとは、
〇職場において行われる優越的な関係を背景とした言動
〇業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
〇労働者の就業環境が害されるもの
以上の3つの要素を全て満たすものをいいます。

ハラスメントの行為者が、意図的に行ったものではなくても、怒りにとらわれた発言や行動等を他者が不快に感じ、もしくは発言や行動が原因で他者の尊厳が傷ついた場合はハラスメントに該当してしまいます。「どうしてそんなにミスをするんだ。いい加減にしろ。」職場でこのように上司が怒っているところを目にしたことのある人は多いと思います。この怒りは、仕事をこのままでは任せられないという「不安」や、指導しても成長が遅いという「落胆」を感じた上司が、部下に対して、もっと注意深く仕事をするように行動を変化させることを適切に指導できず、「怒り」の表現を取ってしまったと考えることが出来ます。ここで、もし、上司が本当に相手に伝えたかったことをうまく表現出来たとしたら、「これだけミスが重なると仕事を任せることに不安になるよ。」「前回のミスの際に、対応策を考えたつもりだが、再発してしまい残念だ。」と伝えることが出来たはずです。こういった表現の方が、自分も相手も不快にせず、こちらの思いを伝えることが出来たのではないでしょうか。適切ではない怒りに支配されて、本当に相手に伝えたかったことや伝えることが出来ず、誤解を招き、相手を傷つけてしまうことがあります。アンガーマネジメントを身に付けることで、怒りという感情にとらわれず、言葉で適切に意思を伝えることができるようになることは、パワーハラスメントを防止することにつながります。

③生産性が向上する
怒りという感情の表に出てしまうと、職場環境が悪化し、生産性の低下を引き起こしかねません。又、無駄にイライラすることでストレスを増加させると、心の健康にも悪影響を及ぼします。アンガーマネジメントを身につけることで、怒りの感情によるコミュニケーションの質の低下を解消し、仕事の生産性を上げることができます。怒りやすい人は、色々なことを相手に欲求する傾向にあることも覚えておき、自分自身を振り返ってみることも大切です。「ちゃんと運営できるようにしっかり準備しろと言ったのに」ではなく、「ちゃんと」や「しっかり」の程度を相手と具体的に話し合っておけばよかったと考えてみる方が、よほど健康的です。

(2)アンガーマネジメント研修の内容
アンガーマネジメント研修では、怒りが生じるメカニズムの理解と自身の怒りの傾向性をしっかりと把握したうえで、怒りをコントロールし、適切な表現で怒りの原因となって事態を改善する技術を学ぶことが大切です。アンガーマネジメント研修に、組み込んでいただきたい4つのプログラム内容について簡単にご説明します。

①怒りに関する自己認識を高める
怒りが生じるメカニズムを理解し、自分の怒りのパターンやトリガーを認識する

②怒りの感情を適切にコントロールするスキルを学ぶ
リラクゼーション技法や腹立たしい気持ちが強くなったときに、6秒間だけ、その気持ちを表に出さないように我慢する「6秒ルール」など

③怒りの感情を生産的な方法で表現するための技術を学ぶ
非攻撃的なコミュニケーション技術を学び、他者との対話を円滑にする。感情を健康的で生産的な方法で表現する方法を学ぶ。

④他者との関係を向上させる
怒りの原因となる問題や対立を効果的に解決するための技術や戦略を習得する。他者との関係を強化し、対立を避けるための技術や戦略を習得する。

ビジネスセミナーを探す


経営者層から若手層までを網羅した体系 的なラインアップ。経験豊富な講師によ り、年間1,000本以上開催しています。

関連記事