コーチング研修

部下のやる気を引き出し部下育成に役立つコーチングスキルを学ぶ

コーチングとは

コーチングとは、対話を重ねることを通して、クライアントが目標達成に必要なスキルや知識、考え方を備え、行動することを支援することです。コーチは相手を導く役割を担いますが、答えを導き出すのはあくまでもクライアントです。相手が潜在的に持っている意識や感情を見抜き、その人にとって唯一無二の答えに導く過程がコーチングです。

 

研修の狙い

  • コーチングの前提として必要となる、相手に共感・承認をし、関心を持つコーチングマインドを理解する
  • コーチングスキルを演習を通じて身につける
  • 部下の能力・やる気を引き出し、自発的な行動を促すことで部下育成に繋げる

プログラム

※内容は、貴社のご要望に応じ、カスタマイズが可能です。
※時間の目安は10:00~17:00です。

1.コーチングが求められる理由

(1)指導・育成はどのようなやり方が良いのか
(2)コーチングとティーチングの違い

2.部下との信頼関係を構築する

(1)あなたは信頼関係構築のために何をしているか【グループワーク】
(2)非言語コミュニケーション
(3)相手の話の要点を繰り返す
(4)相手に合わせるペーシング
(5)相手とのミラーリング

3.承認のスキル【ペアワーク】

(1)承認とは何か
(2)承認するために、相手を思いやり、観察する
(3)上司から承認されると部下は元気になる
(4)上司からのフィードバックが重要

4.傾聴のスキル【ペアワーク】

(1)「聞く」と「聴く」の違い
(2)うなずく
(3)あいづち
(4)オウム返し

5.質問のスキル【ペアワーク】

(1)コーチングにおける質問とは
(2)オープンクエスチョン
(3)クローズドクエスチョン
(4)チャンクアップ
(5)チャンクダウン

6.目標達成にコーチングを活かす

(1)GROWモデルの活用
 ①GOAL:目標の明確化
 ②REALITY:現状把握
 ③RESOURCE:資源の発見
 ④OPTION:選択肢の創造
 ⑤WILL:目標達成の意志

7.コーチング総合演習

8.まとめ

コーチングとティーチングの違い

コーチングの目的は、「現状」と、目指す「結果」の間に生じるギャップを解消することです。ギャップの解消方法の代表的なものに、コーチングとティーチングがありますが、以下のような違いがあります。

ティーチング
ティーチングとは、能力や経験のある指導者が技術や知識を「教える」ことです。主に教師と生徒、上司と部下などの関係性において成立する手法で、私たちは自身、多くの場面で経験しています。教える側から教わる側に一方的に伝達する点が特徴といえます。

コーチング
コーチングの特徴としては、以下のものがあります。

●コーチの役割は、クライアントの支援である
●コーチを受ける対象であるクライアントが目標設定も達成も行う
●達成をもとにクライアントの内面に自信を構築していく
●コーチングは対話を重ねることで行われる

コーチングは、双方向の対話により、クライアントの内面にアプローチし答えを引き出すことで目標達成に導きます。それにより、以下のようなメリットがもたらされます。

● 自覚していなかった感情や思考に気付き、未来の選択肢が増える
● 課題と向き合い乗り越えるまでのプロセスを自身で気付き行動に移せる
● 目標達成への段階的な成功体験の積み重ねにより自信が得られる

 

コーチングの基本となるGROWモデル

最も一般的なコーチングのモデルに「GROWモデル」があります。漠然とした目標を適切な順序で確認し、具体的な行動につなげるコーチングの基本スキルです。

GROWとは次の5つの頭文字を取ったものです。

●Goal – 目標・目的の明確化
●Reality – 現状把握
●Resource-すでにある資源の把握
●Option – 行動の選択肢の創造
●Will – 目標達成の意思確認・自己決断

「目標・目的」を明確にし、「現状」を把握したうえで、利用できる「資源」を確認し、「行動の選択肢」から選択を行い、「実行の意志」を固めるという流れで目標達成を支援することがコーチングの基本と言えます。

では、それぞれについて、見ていきましょう。

 

GROWモデルの5つの要素

(1)Goal – 目標・目的の明確化
第一ステップとして「目標・目的」を明確化していきます。クライアントの理想やなりたい姿が目的であり、目的を達成するためのマイルストーンを目標と考えてください。目標や目的の設定は、クライアントが自ら定めたものでなければなりません。自ら定めたといっても「しなければならない」では十分ではなく、「真に達成したい」と思うものでなければなりません。なぜなら、他人から与えられた目標には誰でも愚痴も出ますし、失敗すれば他人のせいにしたくもなります。
しかし自分で決めたことなら、何とか成功させようと努力し奮闘するからです。ですから、「G」はGROWの4つのステップの中で、一番時間をかけるべきステップと言えます。
これを明確にしていくためには次の5W1H を使った6つの質問をうまく活用していきます。

●What  「何を」成したいのか
●When  「いつまで」に達成したいのか
●Who   「誰が」達成するのか
●Where  「どんな」環境(会社、プライベートなど)で達成したいのか
●How   「どのように」達成したいのか

ビジネスの場では、組織目標から導き出された個人の目標を設定するケースが多いと考えられますが、例えば「今期売上○○億円」とした場合でも、それを達成するために必要であり、かつ本人が成長実感を味わえるクライアントの内面のゴールも同時に考えておくことも必要です。目標・目的に関するよくある間違いは、「○○君を~できるようにする」といった、他者を対象としたものです。この場合は○○君の成長のために「私が◇◇を行っていく。具体的な行動は・・・」と自分の行動と成長に目標を修正してください。

(2)Reality – 現状把握
達成したい目標が決まったら、今どのような状態なのかを正確に把握する必要があります。なぜならば、目標に対する現状が正確に把握できて初めて双方の間に存在するギャップに気づくことが出来、行動のために必要な要素が浮かび上がってくるからです。また、「ギャップがどうなれば望ましいのか」という理想の目標をさらに明確にします。このステップで一番重要なことは、クライアント自身に自らを客観視してもらうことです。コーチングでは、現状のスキルや感情・思考などに着目することが多いです。加えて、ギャップに対する原因もしっかり分析していきます。その際に、原因を他人や環境に求めるのではなく、自分自身の課題として捉えることが必要です。

以下の質問の例を参考に会話を進めていきます。

〇そのことについて、今どのような状況ですか? どのように感じていますか? なぜそう感じましたか?
〇うまくいっていることは何ですか? うまくいっていないことは何ですか?
〇現状を表す最も重要な事実は何ですか?
〇もし、このままだと、他の人やあなた自身にどのような影響が出ますか?

自分自身の改善点を客観的に探ることは、クライアントにとって、つらいステップとなりますので、クライアントの感情を理解・把握することも大切です。他人や環境に原因を求めた場合も一旦、クライアントが抱いている感情に共感すると、信頼感を得ることができます。その上で、自身の課題に意識を集中してもらうことが大切です。

(3)Resource – 資源
ゴールへ近づくために役立つ資源を探します。大きく分けて人・モノ・金など「有形」なものと情報・時間・体験など「無形」のものに分けられるでしょう。「無形」の資源については、クライアント自身の内側にある資源(成功体験、得意分野、温めていたアイデア等)に気づき、それらを効果的に活用できるように質問しましょう。「過去、困難を乗り越えたときにどうやって乗り越えられたのか」 「そのとき誰に助けてもらったのか」「どうやって助けてもらったのか」を振り返り、リソースとして使えるところはないかを探していきます。

(4)Option – 選択肢の創造
解決のための選択肢の検討にあたっては、いつものやり方を繰り返すのではなく、多くの選択肢を考え、検討することがポイントです。
そのために、コーチが効果的な質問を行い、本人の固定観念や思考の癖を取り払うことが重要です。現実的かどうか、実行可能かどうかなどの判断には、固定観念が影響することが多くありますので、とにかく自由にアイデアを出してもらいましょう。

上記「Resource – 資源」とあわせて、以下の質問を例に会話を進めていきます。

〇今まで上手くいったことで、今回役に立ちそうなことは何ですか?
〇周囲でサポートを得られそうな人は誰ですか?
〇1つ目と2つ目の案をヒントに3つ目の案を考えるとどんなことが出来ると思いますか?
〇あえてもう1つだけ出すと、どんなアイデアがありますか? 他にはどんなことに取り組みますか? 今までやったことのない方法では、どんなことがありますか?
〇他社では、どんなやり方をしていますか? もしあなたがお客さんだったらどうしてほしいですか?

ここで、過去の成功体験を利用できる場合と成功体験こそが目的を達成するための制約条件になっている場合があることには、注意が必要です。

(5)Will – 目標達成の意思確認
選択肢から実行する行動を選択し、目標達成のために自分の意志でその行動ができるかどうかを確認し、行動に踏み出す段階です。
コーチは、クライアントに質問することで、いつ、何を、どうやって行っていくかを会話の中でクライアントにイメージしてもらい、行動の開始をサポートします。さらに、行動を「宣言」してもらうことで、コーチとの間で「約束」が生まれ、行動が促進される可能性が高まります。この段階で、クライアントのコミットメント(積極的に参加する意思)が弱いと感じられた場合、そのことをクライアントに伝え、さらに対話することも大切です。

以下の質問を例に会話を進めていきます。

〇もっとも重要な選択肢、方法は何ですか? なぜそのように思いましたか?
〇選択肢に優先順位をつけるとしたら、どれから取り組む必要がありますか?
〇いつから始めますか?
〇最初の一歩はどのように踏み出しますか?
〇実現の可能性は何%ぐらいですか?

クライアントに行動を起こさせる最初の段階で、コーチが注意することは、クライアントに着実な一歩で小さな成功を挙げてもらうイメージで、寄り添い、エールを送ることです。小さな成功により、クライアントは自信を深め、自信は主体性や自主性を支える基盤となり、次なる課題に挑戦する意欲を得ることが出来ます。

 

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