リスクマネジメント研修

企業におけるリスク管理の重要性を理解し、リスクマネジメントの進め方を学ぶ

リスクマネジメントとは

 リスクマネジメントとは、組織を取り巻くリスクを網羅的に把握し、重要と思われるリスクを抽出した上で、対応策を講じる事前策と、リスクが偏在化した時の事後策を合わせたものをいいます。従来から、各企業においてリスクマネジメントは行われてきたはずですが、最近では業務のアウトソーシングの増加により、リスクとして把握すべき範囲が広がってきたことや、コンピューター犯罪の増加など新たなリスクが顕在化していることなどから、企業がリスクマネジメントを一層積極的に行うことが、求められています。
 リスクマネジメントの主な目的は、経済活動で生じる恐れのある損失を回避することと、損失が発生した場合の拡大防止措置を講じて事業を継続できる環境を保全することです。リスクが発生しないよう、予防することは重要ですが、万一発生した場合にも、事前にリスクを想定して、対応策を考えておくことで、発生時に被害を最小限に抑えることが、可能となります。リスクマネジメントが不十分な場合、取引先企業や消費者からの信頼を失い、企業の経営に大きな影響を与えかねません。一方、リスクマネジメントを具体的に進めていく際には、コストがかかりますので、コストと効果のバランスを考えて、対応を決めることが重要です。

 

研修の狙い

  • 企業を取り巻くリスクを理解し、リスクマネジメントの意識を高める
  • 自社・各部門のリスクを洗い出し、リスク分析と対策を検討する
  • リスクマネジメントを強化し、コンプライアンスの徹底を図る

プログラム

※内容は、貴社のご要望に応じ、カスタマイズが可能です。
※時間の目安は10:00~17:00です。

1.リスクマネジメントの重要性

(1)今必要なリスク管理
(2)企業の危機管理事例

2.リスクとは

(1)リスクの定義
(2)企業を取り巻くリスク
(3)リスクの認識
(4)リスク認識度を向上させる
(5)リスク感覚を磨く
(6)リスクの構成要素
 ①リスク要因
 ②リスク対象

3.リスクを管理する

(1)リスクマネジメントとは
(2)組織での役割
(3)リスクマネジメントのプロセス
 ①リスクの洗い出し
 ②リスクの分析と評価
 ③リスクの優先順位づけ
 ④リスクの対策

4.職場におけるリスクマネジメント

(1)業務リスク
(2)ヒューマンリスク
(3)労務管理リスク

5.自社、自部門のリスクの分析と対策【ワーク・発表】

6.不祥事とコンプライアンス

(1)企業不祥事事例
(2)コンプライアンスの意識を高める

7.まとめ

リスクとは

リスクの定義は様々な定義が提示されていますが、代表的なものを挙げておきます。

1.リスクマネジメントにおけるリスクの一般的定義
『事態の確からしさとその結果の組み合わせ、または事態の発生確率とその結果の組合せ』
注記1:「その事態が引き起こす結果」は、組織にとって好ましくない影響だけを扱っている

2.「ISO31000-2018年版:リスクマネジメント-指針」によるリスクの定義
『目的に対する不確かさの影響』
注記1:影響とは、期待されていることからかい(乖)離することをいう。

           影響には、好ましいもの、好ましくないもの、又はその両方の場合があり得る。

           影響は、機会又は脅威を示したり創り出したり、もたらしたりすることがあり得る。
注記2:目的は、様々な側面及び分野をもつことがある。また、様々なレベルで適用されることがある。
注記3:一般にリスクは、リスク源、起こり得る事象及びそれらの結果並びに起こりやすさとして表される。

 一般的に「リスク」と言うと好ましくない影響と捉えられていますが、ISO31000では、好ましくない影響のみならず、予想外に好ましい影響も「リスク」であると定義されています。またISO31000では、リスクを特定するためには「目的」を明確にしなければならないという意味から、あえて「目的に対する」と付け加えて、「不確かさの影響」としています。
ひとつの事象でも、立場によってとらえ方は大きく異なります。例えば、「長生きはある意味リスクだ」という人がいます。これは、それだけ生活費が必要になるので、貯蓄の維持を目的とした場合には、リスクとして認識すべきということです。企業について考えてみても、円高は、海外から仕入れを行っている部署にはプラス要因であり、海外に輸出する部門にとっては、マイナス要因となる可能性もあります。これが、リスクマネジメントの難しさの一因であり、組織として対応していくためには、目的を明確にし、目線を合わせつつリスクマネジメントを推進していくことが重要です。

 

 

リスクの分類

1.リスク分類の種類
 リスクの分類についても、分類の目的によっていろいろな方法が存在しています。
【例】
  ① 「純粋リスク」・「投機的リスク」に分類する ―詳細後述
  ② 「人的リスク」・「物的リスク」・「賠償責任リスク」に分類する
   ▶人的リスク  :人体に損害を与えるリスク
   ▶物的リスク  :財物に損害を与えるリスク
   ▶賠償責任リスク:他人や他人の財物に損害を与えたことによる法律上の損害賠償責任から生じたリスク
  ③ 「内部要因」・「外部要因」に分類する
   ▶内部要因:主に組織の戦略や内部管理に関わるものとされ、例としては、組織基盤、従業員、業務プロセス、テクノロジー要因等が挙げられる
   ▶外部要因:組織の外部で発生し、組織の経営に影響を与えるイベントとされ、例としては、経済・政治・社会、自然災害、経営環境等の諸要因が挙げられる。

 こうした分類方法を参考に自らの組織に適した分類を検討していくことが望まれます。
 次に、最も一般的とされる、「純粋リスク」と「投機的リスク」に分類する方法をご紹介します。

2.純粋リスク
 純粋リスクとは、企業に損害や損失のみをもたらすリスクをさします。損害・損失のみといったマイナス要素のみがもたらされるリスクであるため、事態の発生または損害・損失の発生を防止・抑制するとともに、損害・損失を最小限にする活動がリスクマネジメントの中心となります。

3.投機的リスク
 投機的リスクとは、企業に損失と利益のどちらの可能性ももたらすリスク のことです。
 投機的リスクは、プラスとマイナスの影響がありうるため、マイナス面を最小限にすることがリスクマネジメントの中心的活動となります。

 

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コンプライアンス研修の目的と内容

 

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