現場任せの教育体制からの脱却。社員の意欲に応える学びの仕組みづくり
株式会社神明

創業から100年以上の歴史を持つ米穀卸として、日本の食を支える株式会社神明。事業規模の拡大とともに、改めて向き合ったのが人材育成の在り方でした。新入社員研修以降は現場任せだった教育体制を見直し、2021年にSMBCコンサルティングの研修サービスを導入。指名型と手挙げ型を組み合わせた運用で、継続的に学び続けられる仕組みづくりを進めています。
- お話を伺った方
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- 管理本部 総務人事部 部長 藤野様
- 管理本部 総務人事部 人事課 課長 橋野様
- 管理本部 総務人事部 人事課 鈴木様
- 管理本部 総務人事部 人事課 倉田様
- (以下、敬称略)
- 利用サービス
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- ベーシック(サブスク)(旧・定額制クラブ)
- ライブラリ(旧・定額制 Web セミナー)
御社のこれまでの事業成長と、その中で感じていた人材育成の課題を教えてください。

藤野:
当社は、お米の卸売業として、原料を仕入れて工場で精米し、量販店や飲食店へ販売する事業を創業以来続けてきました。私が入社した当時の売上は約450億円ほどでしたが、約25年で売上は約4倍に拡大しました。従業員数も倍以上に増え、現在は500名近い体制となっています。神戸中心だった事業が東京や九州へ広がるなど、事業規模は大きく変化しました。
ただ、その一方で感じていたのが、会社の成長スピードに人材育成が追いついていないのではないか、という点です。組織が拡大する中で、求められる役割やスキルも多様化していますが、それに対応するための体系的な学びの機会が限られていました。
倉田:
導入前の教育体制としては、新入社員研修は毎年実施していましたが、その後の継続的な研修機会はほとんどありませんでした。配属後はOJTが中心で、上司や先輩から学ぶ形です。もちろん現場で学ぶことは大切ですが、「何を、どのタイミングで、どの層に学んでほしいのか」を会社として提示しきれていなかったと感じています。
教育体制の見直しにあたり、外部サービスを導入された理由を教えてください。
藤野:
教育体制を整えたいという思いはありましたが、社内で体系的な研修を設計・運営するノウハウは十分に蓄積されていません。階層別に幅広く学べる仕組みを一から内製するのは現実的ではなく、プロにお任せした方が、社員にとっても質の高い学びを提供できると判断しました。
倉田:
いくつかのサービスを比較検討しましたが、総合的に見てバランスが最も良かったのがSMBCコンサルティングの研修サービスでした。特に大きかったのは、受講人数や回数の制限がなく、利用が広がるほど費用対効果が高まるサブスクリブション型の料金体系です。当社は正社員だけでも500名近い規模ですので、一部の社員だけでなく、幅広い層に学習機会を提供できることは重要なポイントでした。
鈴木:
新入社員から管理職まで、階層別にプログラムが用意されている点も魅力でした。「この層にはこういう観点で学んでほしい」と明確に示せるため、人事としても案内しやすいですし、受講者側も目的を持って参加しやすいと感じました。実務に直結するテーマが多いことも、導入の決め手になりました。
「みんなの研修」は、社内でどのように運用されていますか?
鈴木:
基本的には、正社員を対象に人事から案内しています。導入当初(2021年末〜2022年頃)は、まず学ぶ機会を継続的に届けることを重視し、階層別に「この層にはこれを学んでほしい」という形で研修を指定していました。
その後、個別に受けたい研修にも参加できる仕組みを取り入れ、人事が対象者や受講する研修を指定する指名型と、本人の意思を尊重する手挙げ型を組み合わせたハイブリッド型で運用しています。一人あたり年間3回の受講を目標とし、継続的に学ぶ機会を持てるようにしています。
倉田:
受講は業務時間内に行うため、必ず上長の承認を得る仕組みにしています。また、受講後には報告書を提出してもらい、上長がコメントを入れるフローにしています。学んだ内容を振り返り、「どう業務に活かすか」を考える機会にしたいという意図です。
この報告書の内容や満足度も確認しながら、次回の案内に活かしています。満足度の高い研修は継続的に案内し、ミスマッチがあった場合は対象や受講させる研修を見直すようにしています。
藤野:
無理に受けさせても、吸収できなければ意味がありません。本当に学びたいと思えるテーマを受けてもらうことが、結果的に本人の力になります。会社として方向性は示しながらも、最終的には本人の意欲を大切にする。それが今の運用の考え方です。
拠点や勤務形態が異なる中で、どのように学習機会を広げてきましたか?

鈴木:
当社は本社機能のある神戸や東京・日本橋に勤務する社員と、工場勤務の社員がいます。来場型研修はどうしても神戸や日本橋の社員が中心になりますが、工場勤務の社員にも学ぶ機会を提供したいという思いがありました。
そこで、時間や場所にとらわれず受講できるライブラリ(旧・定額制Webセミナー)もあわせて導入しました。自己研鑽の一環として、好きなタイミングで視聴できる形にしています。
倉田:
集合研修のように日程を設定し、皆でWebセミナーを視聴する企画も実施しました。
対面研修にはその場での交流やグループワークの良さがありますが、Webセミナーは制度設計の柔軟性が高い点が強みです。それぞれの特性を活かしながら、拠点や職種にかかわらず学べる環境を整えてきました。
橋野:
今後はライブ配信型の研修も始まりますので、遠隔地の社員にもより参加しやすい形が作れるのではないかと期待しています。ただ、会社で受けるのが良いのか、自宅で受けてもらうのが良いのかなど、環境づくりも含めて検討が必要です。まずは担当者側で体験しながら、最適な形を探っていきたいと考えています。
導入後、社内にはどのような変化や反応が生まれていますか?
倉田:
導入してまず感じたのは、「何を学んでほしいのか」が明確になったことです。人材育成は現場ごとの運用が中心で、人事として「どこを強化すべきか」「社員が何を学びたいのか」が見えにくい部分がありました。
みんなの研修ベーシックではプログラムが体系的に整理されているため、「この層にはこのテーマ」という形で示しやすくなりました。受講者側も「こういうことを学びたかった」という気づきがあり、学びが具体化したと感じています。
私自身もファシリテーションの講座を受講しましたが、「こう話すと分かりやすいんだな」といった進め方の工夫を学ぶことができました。社外の方と意見交換する機会もあり、良い刺激になりました。
橋野:
私はコンプライアンスの研修を受けました。以前にも受講したことはありましたが、法改正や時代の変化もあり、定期的にアップデートできるのは非常に助かります。社内だけでは触れられない他社事例が紹介される点も、学びの幅を広げてくれます。
鈴木:
受講後の報告書を見ると、「受けて無駄だった」という声はほとんどありません。むしろ「もっと受けたい」「次はこれを学びたい」という前向きな意見が多く、年々、自発的に手を挙げる社員も増えています。管理職から「この人にも受けさせたい」といった声が上がるようになったのも、大きな変化です。
人気が高いのはパソコン関連の研修で、特にExcelは早くから埋まることもあります。ファシリテーションやプレゼンテーションなど、部署を問わず活かせるスキル系の研修も好評です。最近ではAI関連のテーマにも関心が高まっています。
部署ごとの傾向としては、経理や人事など、法律や制度に関わる知識が求められる分野での活用も進んでいます。OJTでは習得するのが難しいテーマについて、専門家から最新の情報を学べる点は、大きなメリットだと感じています。
一方で、若手向けとして案内した研修が「少し簡単だった」という声につながることもあり、経験値に応じたマッチングの難しさは感じています。
橋野:
もう一つの課題は、業務との両立です。繁忙期と研修日程が重なると、どうしても受講につながりにくいケースがあります。今後は受講率だけでなく、満足度や内容とのマッチ度も重視しながら、必要なタイミングで必要な学びを届けられるよう工夫していきたいと考えています。
今後、「みんなの研修」をどのように活用していきたいとお考えですか?
橋野:
現在は人事制度の等級に応じて人事側で研修をピックアップし、階層別に案内していますが、社員一人ひとりの状況や課題は年々多様化しています。個々に本当に必要な学びをどう届けるかは、これからのテーマだと感じています。
その一環として、受けたい研修を公式に申請できる仕組みを整えています。これまでは研修担当宛てに直接連絡する形でしたが、情報を知っている人だけが利用しやすい状況でもありました。今後は誰もが平等に手を挙げられる環境を整え、より主体的な学びにつなげたいと考えています。
鈴木:
ライブ配信型の研修も始まりますので、遠隔地の社員にも参加しやすい形が広がることを期待しています。職務分野ごとのプログラムも充実してきているため、より一人ひとりにマッチした案内がしやすくなると思います。
私たちとしては、単に受講率を上げることが目的ではありません。研修を通じて社員が成長し、「学び続けること」が当たり前になる環境をつくることが大切だと考えています。
藤野:
会社は短期的な成果だけで続いていくものではありません。当社は1902年創業ですが、これからも長く続く企業であるためには、社員と会社がともに中長期で成長していく必要があります。そのための環境を人事として整えていくことが重要であり、「みんなの研修」は、その土台の一つだと考えています。
取材実施:2026年2月
※利用サービス、役職等はインタビュー時点の情報です。
- 会社概要
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株式会社神明
1902年創業。米穀の卸売を中核事業とし、原料の調達から精米・販売までを一貫して手がける食品企業。量販店や外食産業向けに高品質な米を提供している。神戸に本社を構え、東京をはじめ複数拠点を展開。グループ全体で米の安定供給と品質向上に取り組んでいる。