採用面接研修

採用面接官としての役割を認識し、正しい見極め・入社の動機づけを行うための面接方法を身に付ける

採用面接研修とは

採用面接官を担当する人事部又は採用担当の方を対象に、組織にとって必要な人材を見抜く力と応募者に組織の魅力を伝え、入社の動機づけを高める力を身に付けていただく研修です。

面接官は、「応募者が自社の求める人物像に合っているのか」、そして、「自社で活躍できる人材となってくれるのか」などを、短い面接時間で正しく見抜く必要があります。

又、近年の採用環境は売り手市場が続いており、「企業が応募者を選ぶ」と同時に、「応募者が面接を通じて企業を選ぶ」状況であり、面接官には、自社の魅力を伝え、応募者を惹きつけるプレゼンテーション能力も求められます。

 

研修の狙い

  • 面接において適切な質問を行い、見極めができるようになる
  • 自身の面接官としての癖・課題を認識し、解決策を立てる
  • 応募者と自社の業務に接点を見つけ、応募者への動機付けができる

プログラム

※内容は、貴社のご要望に応じ、カスタマイズが可能です。
※時間の目安は10:00~17:00です。

1.面接官の役割と心構え

  (1)採用面接の目的
  (2) 面接官に求められる役割
  (3) 面接官に求められる心構え
  (4) 最近の学生の傾向
  (5) 応募者が面接官に求める姿勢とは?【ディスカッション】

2.採用面接とは

  (1) 採用面接のフロー
  (2) 採用面接の事前準備
  (3) 事前に統一すべき社内の基準
    ①自社が求める人物像
    ②自社が採るべき学生の採用基準
    ③質問手法

3.面接における具体的な質問内容

  (1) アイスブレイクとしての質問内容
  (2) 前半での質問内容
  (3) 後半での質問内容
  (4) まとめとしての逆質問など

4.採用面接でのNG行為

  (1) 採用選考の基本的な考え方
    ①応募者の基本的人権を尊重すること
    ②応募者の適性・能力に基づいた基準により行うこと
  (2)NG質問
    ①応募者の適性・能力とは関係のない事項とは
    ②セクハラやパワハラとなるような質問

5.トレーニングすべき面接スキル

  (1) オープンクエスチョンとクローズドクエスチョン
  (2) 緊張を和らげ話しやすい雰囲気を作る力
  (3) 行動ベースの質問を意識する
  (4) 自社の魅力を伝えるプレゼンテーションスキル
  (5) ペアによる模擬面接【ワーク】

6.まとめ

採用面接研修の目的

採用面接研修の目的は、大きくは次の2つのスキルを身に付けることです。

  ●組織にとって望ましい人材であるかを見極める

  ●応募者に組織の魅力を伝え、入社の動機づけを高める

 

面接官は、応募者が自社に合う人物かどうか、採用基準を上回っているかどうか、次の選考へ進めるかどうかなどを、面接の場で判断します。但し、見極めを行うだけでは十分ではなく、面接の機会を通して、応募者が企業に求めるものを把握し、それに合わせて自社の魅力をアピールするとともに候補者の不安要素を取り除くことで、候補者が「入社したい」「この会社ならば、活躍できそうだ」と感じられるよう働きかけることが必要です。

 

採用面接研修に必要なコンテンツ

(1)面接官に求められる役割の理解

面接官には、次の4つの役割があります。採用面接研修では、面接官に求められる役割について、十分に理解・認識していただく必要があります。

 

①企業の代表としての役割

多くの場合、入社までの間に応募者が企業の従業員と接するのは、面接官に限られています。面接官は、企業を代表するものとして、自社の理念やビジョンについての説明を行うとともに、応募者に面接される立場でもあると認識する必要があります。

 

②企業と応募者の橋渡し役

面接官は、応募者と良好な関係性を作り、応募者に寄り添い、本音を引き出すとともに、応募者が自社で活躍できる人材かどうかを見極め、企業側に伝える橋渡し役であると考えると良いでしょう。

 

応募者に対して、高圧的な態度や横柄な態度をとる面接官は、この姿勢が理解できていません。組織と応募者双方にとって、望ましい採用の橋渡し役となってもらいたいものです。

 

③志望動機を形成する役割

面接官は、応募者の志望動機を高める役割を担っています。応募者の話を注意深く聴き、企業や仕事に何を望んでいるのかを知ることで、「ここで働きたい」と思える自社の魅力を伝えることができるようになります。

 

④クローザーとしての役割

面接官は、クローザーとして応募者の求職活動を締めくくる役割があります。応募者の不安要素や懸念要素があればそれらを払拭し、他の候補企業よりも「ここで働くことが自身の成長ややりがいにつながる」と感じてもらい、入社に導きます。

 

(2)自身の人事評価エラーの特性を知る

採用面接の場面では、しばしば評価者の主観や先入観が影響して不適切な評価に陥る「人事評価エラー」が見られます。面接官は、人事評価エラーについてあらかじめ理解を深め、自信の癖を知るとともに、回避のための施策を取る必要があります。

 

例えば、面接官によっては、元気で愛嬌のある応募者に魅力を感じる反面、分析力が高く物静かな学生に魅力を感じない可能性があります。

 

人事評価エラーには様々なものがありますが、今回は、例として2つ挙げておきます。

①ハロー効果

ハロー効果とは、一つの顕著な特徴に引きずられて、他の特徴の評価がゆがんでしまうことです。一つのよい特徴が目立つことで全体がよく見えたり、反対に悪い特徴が目立つことで全体が悪く見えたりします。

 

②親近効果

親近効果とは、出身大学・出身学部・出身地・部活動など、共通点のある人に無意識に好感をもってしまい、評価が甘くなってしまうことです。

採用面接で起こりがちなことは、企業に現在勤務している人と重ね合わせて評価を行うことです。

多彩な人材を企業に迎えることが、企業の成長にとってプラスに働くことが知られている現在では、画一的な人材の採用につながる親近効果は、注意しなければなりません。

 

(3)社内の採用ルールの統一方法

面接官によって、面談する応募者の人数が同じでも、合格者の人数や応募者が次のステップを望む人数にバラツキが大きくなるケースがあります。採用面接を複数の面接官で行う場合には、社内で事前に以下の3つの項目をする合わせしておくことが重要です。

 

  ①自社が求める人物像

  ②自社の採用基準

  ③質問手法

 

採用面接研修には、面接官としてのスキルを高めるだけでなく、「全ての面接官の採用ルールを統一する」といった側面もあります。

又、研修を通して、面接官のNG行動を防止することも重要です。NG行動には、不適切な質問内容と、不適切な面接時の応対があります。

特に、応募者の適性・能力とは関係のない事項を質問するなどの就職差別につながるおそれのある不合理な採用選考が後を絶たない状況です。

場合によっては企業イメージに大きな影響を与える可能性がありますので、研修でしっかりと理解してもらう必要があります。

 

就職差別につながるおそれのある不適切な質問としては、以下のものがあります。

  ① 本籍に関する質問

  ② 住居とその環境に関する質問

  ③ 家族構成や家族の職業・地位・収入に関する質問

  ④ 資産に関する質問

  ⑤ 思想・信条、宗教、尊敬する人物、支持政党に関する質問

  ⑥ 男女雇用機会均等法に抵触する質問

 

このような質問はしてはいけないことは分かっていると思われた方が多いと思いますが、

例えば、以下の質問も不適切な質問とされています。

  ● 尊敬する人物を言ってください。

  ● あなたは、どんな本を愛読していますか。

  ● あなたの家では、何新聞を読んでいますか。

  ● 結婚や出産後も働き続けようと思っていますか。

 

(4)面接時の具体的な質問内容について

採用面接は、基本的に以下のような流れでおこないます。採用面接研修では、それぞれの場面に適した、具体的な質問内容を学んで頂きます。

 

  ① アイスブレイクとしての質問

  ② 前半での質問

  ③ 後半での質問

  ④ まとめとしての逆質問

 

①アイスブレイクとしての質問

最初にアイスブレイクをおこない、お互いの緊張をほぐします。面接に応募してくれたことに対する感謝を伝えた後、気候や面接会場に来るまでの込み具合などクローズドクエスチョンで簡単に答えられるような質問を行い、場の雰囲気になじんでもらった後、応募者から簡単に自己紹介をしてもらいます。

 

②前半での質問

自社の社風や風土にマッチする人材を見極めるために、自己紹介の内容を深掘りし、応募者が歩んできた経歴の中で、どのような行動や決断をしてきたかを確認しする質問を行っていきます。過去の事実やエピソードに焦点を当てて掘り下げることで、応募者の内面的な部分にも迫れます。

 

③後半での質問

自社で活躍できる人材かどうかを見極める質問が中心となります。本人が強みと考えていることや仕事に対する考え方、やりがいなどに関する質問で、仕事面で自社にフィットする人材かどうかを見極めます。

 

④まとめとしての質問

一通り確認を終えたら、応募者からの質問に応じることで、疑問点や不安を解消するだけでなく、入社意欲の高さを知ることもできます。又、言い残した自己アピールなどがあれば聞いてあげることで、面接に対する満足感も高めることができます。

 

⑤質問以外の着眼点

採用面談は、来社した時点から行います。つまり、待合室での状況や会場を出るまで様子について、受付を担当する方から報告を受け、参考にすることも必要です。

 

(5)自社の魅力を伝えるプレゼンテーションスキル

面接官が自社の魅力を応募者に伝えることは、クローザーとしての非常に重要な役割です。自社の理念、ビジョン、業務内容、本人の成長をサポートする体制など、応募者が企業に何を望むかを確認した上で、応募者にとって魅力的な職場であることをプレゼンテーションしなければなりません。時に自己開示を織り交ぜながら、応募者が具体的に入社後をイメージできるようにしてあげることで、志望度は上がるはずです。

 

(6)ロールプレイングとフィードバック

採用面接官研修では、研修に参加する面接官同士で、面接官と応募者役に分かれて、実際の面接に近い環境で模擬面接を行うロールプレイングを行いましょう。

また、ビデオに撮って自分自身で面接の様子を確認することや応募者役や講師からフィードバックをしてもらえば、自分の状態を客観的に判断することもできます。

 

まとめ

企業の採用の成否には、面接官のスキルや姿勢が大きく関わっています。採用面接官研修を通して、自社と応募者の双方にとって望ましい採用活動が行える体制を構築頂けたらと思います。

 

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