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部下育成研修を成功に導く8つのポイント

管理職として必要な部下育成の考え方と部下指導の手法の基礎を学ぶ

研修の狙い

  • 会社における部下育成とその必要性を理解する
  • 育成・指導の基本的な方法論を理解し部下をやる気にさせるスキルを身につける
  • 部下のタイプに合わせ、状況に応じた指導力を発揮する

プログラム

※内容は、貴社のご要望に応じ、カスタマイズが可能です。
※時間の目安は10:00~17:00です。

1.部下育成の目的を理解する

(1)会社における部下育成とその必要性
(2)現状の問題点確認【ワーク】
(3)時間不足の悪循環を断ち切るには

2.部下指導の上手い上司の特徴

(1)信頼できる上司とは
(2)信頼関係を構築するために何をするべきか
(3)強い職場を作る条件は

3.部下への動機づけ

(1)やる気の源とは―代表的な動機づけ理論
(2)部下のほめ方、叱り方
(3)感情的な対応からは何も生まれない

4.部下への指導・育成法を学ぶ

(1)テーチングスキルとコーチングスキル
(2)GROWモデルの活用
(3)コーチングの主要スキル(傾聴・承認・質問)

5.部下のタイプ別指導法

(1)SL理論とは
(2)部下のモチベーションの高さと能力の高さによるタイプ分け
(3)部下のタイプ別指導法
(4)部下育成のアクションプランを考える【ワーク】

6.部下を成長させるための環境づくりを確認する

(1)成果を出す優秀なチームの共通点
(2)心理的安全性の作り方
(3)現状の確認・安全な環境を構築するために【ワーク】

7.まとめ

部下育成の目的と成功に導く8つのポイント

1.部下育成とは

「部下育成」は、管理職にとって、「組織の業務目標達成」と並んで最も重要な役割であると言われています。

「部下育成」というと、「仕事のやり方を教える」や「改善点を指導する」ことを思い浮かべる方が多いと思います。

たしかに部下が業務をこなせるようになるためには、必要な知識やスキルを指導して身に付けてもらう必要がありますが、それだけでは、部下育成に限界が来ることが多いでしょう。

米国のリーダーシップ研究機関であるロミンガー社が、様々な経営者を対象に、何がリーダーとしての自分の成長に役に立ったのかを調査したところ、「経験」が70%、上司など他者からの「薫陶」が20%、そして、「研修」は10%であったそうです。

これは、人材育成の分野において、「70:20:10の法則」又は「ロミンガーの法則」と呼ばれており、この法則は、部下育成には「どのような経験をさせる」のかという視点を持って臨むことが、効果的な部下育成につながることを示唆しています。

つまり、部下育成の本質は「上司が教える」ことではなく、「部下自身が学んでいくプロセスをサポートする」ことであり、部下育成の主体はあくまでも部下なのです。

そのため、上司の役割は本人の適性や個性を見極め、スキルアップにつながる機会を与えることが重要となりますが、部下を中心に育成計画を立てていくことが大切です。

2.部下育成の目的

部下育成の目的として、主要なものは以下の4つです。

(1)離職の防止
企業にとって人材が離職するのは大きな損失です。厚生労働省が2020年に報告したデータによると、2019年における入社3年以内の離職者に関しては、大学卒の離職率が32.8%、短大卒は43.0%、高校卒は39.5%、中学校卒は59.8%となっています。

離職の背景として、個人の趣向と職場とのミスマッチが指摘されることもありますが、新人社員を退職に追い込むケースとして「部下の育成が不十分であった」ということも考えられます。

部下育成を計画的に行うことで、業務に対して部下がやりがいを感じるようになれば、離職率の低下につながります。

長く勤める従業員が増えれば、社内に蓄積されるノウハウや技術に厚みが出てくるため、結果的に組織としての競争力も高まるはずです。

(2)生産性の向上
現在日本では、人口減少や少子高齢化による労働力不足・国際競争力の低下が叫ばれており、これに対して学び直しによる労働生産性の向上が注目されています。

また、事業を取り巻く環境は絶えず変化をしており、その変化に対応できる人材の育成が欠かせません。

企業が掲げる目標と個々の従業員の目標とを擦り合わせて、人材育成を行うことで、従業員にとっては成長できる環境が整い、企業への信頼感も増すことで、業務に対するモチベーションが高まり、生産性の向上につながります。

(3)上司自身の成長の促す
部下が成長することで、部下に任せられる仕事も増えてくるはずです。このことで発生した余力を、自身の能力開発につながる新たな仕事に割り振ることが出来きます。

部下を育て、上司自身も会社のために新しい業務にチャレンジしていることを会社に認められれば、部下・上司ともに社内評価を高めることにもつながります。

(4)将来的なリーダーの確保
人材育成は企業にとって現時点で必要な人材を育てるだけでなく、長期的な視点で企業が必要とする人材を確保するため、社員のキャリア開発、社員の自己実現を支援していくという意味でも重要です。

特に、企業の未来を担う人材である次世代リーダーは、組織の課題の発見、問題解決スキルなど高度なスキルを求められることから、計画的に経営者の視点を実感できる業務を経験させると、さらなる成長が期待できます。

3.部下育成を成功に導く8つのポイント

部下育成を成功に導くには、基本的なポイントをしっかりと押さえておく必要があります。ここでは、主な8つのポイントを紹介します。

(1)部下と一緒に成長目標を立てる
部下とコミュニケーションを取りながら一緒に成長目標を立てることが大切です。

初めから大きな目標を目指すのではなく、部下の能力にあわせて、バランスのとれた目標を設定し、どのようにすれば達成できるかを一緒に考えていきましょう。

また、その際に重要となるのは、目標を部下自身が設定することです。上司から与えられた目標は、どうしてもノルマ意識が強くなってしまいます。

「目標を達成することで、どのような成長につながるのか」といった点を丁寧に説明し、納得感を醸成することが大事です。

部下自身が叶えたい願望と企業が目指す方向性をうまく擦り合わせ、部下のモチベーションを高めることが出来れば、成長目標を達成していく成功体験を通じて、やがて部下自身が主体的に学んでいくようという、理想的な部下育成となっていきます。

(2)コーチングをつかった指導を行う
「コーチング」とは、対話を重ねることを通して、上司が部下の自主性を引き出し、目標達成に必要なスキルや知識、考え方を備え、行動することを支援するプロセスです。

知識などを一方的に与えて育てるティーチングだけに偏ってしまっては、部下が自ら考える機会を失ってしまいます。コーチングは、成果が出るまでに時間がかかりますが、部下の主体性を大切にしながら無理をさせずに育成できます。

【代表的なコーチングスキル】
コーチングで用いるスキルの内、代表的な3つのスキルについて説明します。

●傾聴スキル
コーチングでは、相手の話に関心を示しながら耳を傾ける傾聴スキルが求められます。相手が話しているときは口を挟まず、ときには相づちを入れるなどして聞き手に徹します。

話を聞く際は言葉だけでなく、表情や声のトーン、仕草からも情報を得ることが大切です。

言葉だけでは得られない情報にも気を付けることで、コミュニケーションは一層円滑になり、コーチングの効果は大いに向上するでしょう。

●承認スキル
相手の考えや行動を認め、評価するのが承認スキルです。人は自分の努力を評価されると、さらに頑張ろうという動機付けを得られるものです。上司は部下の行動をよく観察し、どのように変化し成長しているのか、言語化して相手に伝えることが大切です。

●質問スキル
コミュニケーションスキルは人によって大きく異なります。すべての人が同じ方法で自分の意見や思いを表現するわけではありません。ですから、コーチングでは相手の思いを引き出すための、高い質問スキルが求められるのです。

状況に適した問いかけをして相手の思考を促し、発言しやすい環境を作る必要もあります。指導を受ける人の自己評価が低く、自分の考えを伝えることに消極的なら、回答を簡単なYesもしくはNoで回答できる質問を準備しましょう。

対象がコーチングに慣れてきたら、少しずつ具体的な質問を織り交ぜて、相手の思考力を刺激していきます。

(3)1on1(ワンオンワン)ミーティングの実施
1on1(ワンオンワン)ミーティングとは、部下の仕事に対する意欲を高めるために、上司と部下が1対1で行うミーティングです。

部下育成においては、対話を通して問題意識を吸い上げ、解決に向けた対策や実行に向けたプランを立てる必要があることから、定期的に部下とコミュニケーションを取っていくことが大切です。

その際には、部下の考えや強み、キャリアの捉え方などを踏まえたうえで、一人ひとりの部下に合った接し方を心がけてみましょう。

短い時間でも、定期的に実施することで人材育成のベースとなる部下の現状把握ができるほか、対策やプラン立てを部下本人に考えさせるため自主性を高められます。

(4)怒るではなく叱る
部下の行動や業務への取り組み方で明らかな間違いがあるときは、すぐに指摘する必要があります。特に、重大な事故や、クレームにつながる可能性があるときには、叱ることも必要です。

ここで言う「叱る」とは、問題点・改善点を指摘して、注意やアドバイスをする行為のことで、行動改善のきっかけをつくり、相手の成長を促すために行います。

これに対して、「怒る」とは、自分の感情を相手に一方的にぶつけることで不満を発散し、相手を追い込む行為といえます。

感情的になることで、部下が委縮してしまい、モチベーションの低下につながるほか、パフォーマンスの低下、ミスの隠蔽(いんぺい)を招く可能性もあります。

又、必要以上に指摘したりすれば、部下のモチベーションを低下させたり、反発を招くことにもなりかねません。

特に気を付けないといけないのは、部下の人格そのものを否定するような発言です。人格に対する批判は部下の尊厳を傷つけ、パワーハラスメントにつながります。

(5)成果よりプロセスを評価する
部下育成の視点での評価は、成果よりもむしろプロセスを重視することが大切です。

まずは、目標達成に向けて、正しいプロセスを踏んでいることを確認し、出来ていなければ、修正が必要です。その上で、部下が自ら考え工夫した点などは、たとえ、成果としては大きくなくとも、褒めて、モチベーションの向上につなげていきましょう。

部下育成のポイントは、成果を出すために必要なプロセスをしっかりと身に付けさせ、修正すべきプロセスは改善に取り組むことです。さらに工夫できる取り組みにつなげてあげれば、必ず成果につながっていくはずです。

(6)心理的安全性の構築
上司は「気軽に相談して欲しい」と考えていても、部下は「こんなことを相談したら仕事ができないと思われるのではないか」と気を遣ってしまうことがあります。そのような状態となることは、心理的安全性が醸成できていないからかもしれません。

「心理的安全性」とは、組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態のことで、心理的安全性の備わった環境であれば、部下は伸び伸びと仕事ができるため、成長も早くなります。

そういった環境を作るためには、部下のほうから声を掛けてくるのを待つのではなく、上司のほうからも積極的に報連相をすることや、会話を通して、コミュニケーションの頻度を高め、部下を理解し受容することが必要です。

上司に理解され受け入れられた部下は心理的な安全性が担保され、仕事への意欲が高まり、高いパフォーマンスを発揮します。

(7)成長につながるストレッチした仕事を任せてみる
部下の適性や能力を見極めて育成することは大事ですが、現在の実力よりも少しレベルの高い業務を任せてみることも、時には重要です。

実力よりも少し高めの目標でも、自身の成長のためにその目標にチェレンジすることを本人が納得していれば、本人のモチベーションが高まるでしょうし、目標を達成するための工夫やアイデアも生まれてくるはずです。  

もちろん、初めて取り組む業務の場合、失敗してしまうこともあるでしょう。しかし、仮に失敗したとしても、自分の実力を客観的に見定めるよい機会になります。

難易度の高い業務を任せると決めたら、しっかりと見守って、部下が成長する機会をできるだけ多くつくってあげることが大事だといえます。

(8)信頼される上司となる
部下の育成には上司の関わり方が鍵となります。部下育成を効果的に行うためには、上司が部下から信頼を得ていることが条件となります。信頼される上司には以下のような特徴があります。

少し不足していると感じるところがあれば、部下側からもどうみられているかを意識して、改善していきましょう。

<信頼される上司の特徴>
・しっかり話を聴き、部下の意見や価値観を否定せず、押し付けない
・プロセスを評価する
・口先だけでなく約束を守る
・感謝と謝罪ができる
・専門知識やスキルが高く、実績がある
・勇気と責任感がある

どれも難しいことではありません。しかし、部下の育成に悩まれている方には、多忙のために、当たり前にできるような傾聴姿勢や感謝や謝罪の姿勢がおざなりになってしまう場合があります。今一度自身の言動を見直し、実践できているかを確認しましょう。

部下との信頼関係構築には「約束を守る」スタンスも大切です。もちろん、社内やマーケットの変化のために、部下との約束が守れない時もあるでしょう。その際は、部下に誠実に向き合い、事情を説明することが必要です。

4.SL理論による部下のタイプ別指導法

(1)SL理論とは
SL理論のSLは「Situational Leadership」の頭文字をとったものです。「Situational」とは、「状況の」という意味ですので「Situational Leadership」とは、「状況にあわせたリーダーシップ」を意味します。

SL理論は、1977年に行動科学者のポール・ハーシー(Paul Hersey)と組織心理学者のケネス・ブランチャード(Kenneth H Blanchard )によって提唱されました。

SL理論を簡単にいえば、上司は、部下(フォロワー)に対して画一的に対応するのではなく、部下(フォロワー)の状況によって、指導やリーダーシップのスタイルをしなやかに変化させていかなければならないということです。

具体的には、部下の状況を能力と意欲に応じて、4つのタイプに分類し、それに対応させて、発揮するリーダーシップを「指示的行動」と「援助的行動」の組み合わせで、4段階に変化させるとしています。

●指示的行動   
何を、どこで、いつまでに、どのように行うのかを細かく指示し、遂行させ、管理することです。

●援助的行動
部下の話を聞き、努力に対して援助や支持や励ましを与え、問題解決や意思決定への参加を促すようにすることです。

(2)部下の4つのタイプ
SL理論では、部下のタイプを、モチベーションの高さと能力の高さを基に下のように分けます。

R1:能力も意欲も低く、不安を示す
  新人、他部署から異動してきた社員、転職してきた社員などが該当します

R2:能力は低いが、意欲や確信を示す
  仕事を少しずつ覚え、自分の判断で進められる業務が多くなってきた状態の社員が該当します。

R3:能力は高いが、意欲が弱く不安を示す
  仕事の目的や意義を理解し、ある程度の業務は単独で行えますが、難しい業務においては、意思決定や単独遂行に不安がある状態の社員が該当します。

R4:能力が高く、意欲や確信を示す。
  権限を委任することもできる、頼れる社員が該当します。

(3)部下のタイプ別指導法


①R1に対してはS1(教示型)
上司に対して業務のプロセスを明らかにしてもらい、ゴールにたどり着くまでの道筋を具体的に指示してもらいたいと感じる状態です。

業務が深い部分で理解できていなくても、仕事をやり切ることでチームに貢献したいという意欲が高い段階であるため、具体的な指示を与えて成長のきっかけをつくれるように促しましょう。

対応としては、指示的行動が多く、援助的行動が少ないリーダーシップを取ります。

細かい指示を与え、その進捗や取組みを管理するという強制管理タイプです。リーダーとしては仕事のやり方を徹底的に教えながら管理を行う必要があります。

②R2に対してはS2(説得型・コーチ型)
仕事に慣れ、業務に関して本人なりの工夫をするようになる段階では、業務に対する姿勢や目的を説明してほしいという気持ちが強くなります。そのため、意欲や興味などを失わせないアプローチが重要です。

対応としては、指示的行動、援助的行動ともに多いリーダーシップを取ります。

SL理論における4つのリーダーシップスタイルのなかでは、最も工数や時間を必要とする部分ですが、ここでしっかり育成することで、その後の指導は円滑になります。

仕事の進め方について本人の意見を聞いたり提案を求めたり、意思決定に参画させるなどの援助的行動を行うことで、高い意欲を更に高めます。

③R3に対してはS3(参加型・援助型)
仕事のスキルは高いが意欲が低い部下に対しては、指示的行動は減らし援助的行動を取っていくことで、高いスキルを組織に活かすことを考えます。

自らのことを不当な扱いを受けた犠牲者であると考えていることが多く、公正な評価と職場以外でのコミュニケーションの機会ももち、頑なな心を解きほぐすことも必要です。

このタイプの部下に指示的行動を増やすと、ますます意欲を減退させることとなります。「その能力を困っている人たちのために活かしてほしい」「教えて欲しい」といったように能力を尊重した援助的行動をとることが必要です。

④R4に対してはS4(委任型)
仕事のスキルが高く、意欲も高い部下に対しては、指示的行動も援助的行動も減らします。自分で物事を判断し仕事を進めていけるタイプですので、大きな目的や目標の共有を心掛け、その達成手段は本人に任せます。

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