目標設定研修
メンバーの自律性と組織の前向きな行動変容を促す納得感の高い目標設定の作り方を学ぶ
目標設定研修とは
目標設定研修は、組織を率いる管理職が、メンバーが納得感を得られる目標設定を行うことで、組織に前向きな行動変容を促し、かつ、メンバーが能動的に働くことができる組織づくり行う方法を学ぶ研修です。又、目標設定段階においては、メンバー自身が、組織方針を踏まえて、自分自身の立場や役割にふさわしいレベルで目標を設定できなければなりません。そのため、研修では、部下が適正な目標設定を行えるよう、上司として目標設定指導を行う方法についても学んでいただきます。
研修の狙い
- 目標設定を通じて、メンバーの意欲向上につなげる
- 目標設定を活用し、組織の方針を浸透させ、具体的に何をすべきかを明確にする
- 目標設定を部下育成に役立て、部下が自律的に動き、目標達成していく仕組み学ぶ
プログラム
※内容は、貴社のご要望に応じ、カスタマイズが可能です。
※時間の目安は10:00~17:00です。
1.なぜ、目標設定は必要なのか
(1)目標設定の目的は何か
(2)目標による管理(MBO)とは
(3)目標設定を通じて管理職がすべきポイント
(4)部下の目標へのこだわり・意欲向上につなげる
(5)あなたは目標設定の理由をどう説明していますか【ワーク】
2.機能する目標設定の進め方
(1)全社方針・部門方針を軸にする
(2)部下への目標の浸透
(3)日常のマネジメント行動につなげる
3.目標達成の作り方
(1)目標設定のポイント
①SMARTの法則とは
(2)目標面談の進め方
①前期のフィードバックと役割期待の明示
②目標の共有
③納得感を高める目標面談とは
4.グループ演習【グループワーク】
(1)「目標面談の時に、どんな話をしていますか」
(2)「部下から低い目標が出されたら、どうしますか」
5.まとめ
目標設定研修を導入すべきケース
メンバーの目標設定を、メンバーとの合意形成を行わず設定する組織や目標設定が形骸化している組織は、今も多く存在しています。
この場合、以下のような問題点が発生する可能性があります。
①仕事にやらされ感を感じるメンバーが多く、目標達成への職場の士気が上がらない。
②メンバーの多くが、期初に立てた目標を認識していない。
③メンバーが、自分の目標達成だけを考え、組織全体に目を向けない。
④目標設定の進捗管理や適切な対策の実施が出来ておらず、目標未達となる
このような問題点が発生している場合は、少なくとも管理職に対する目標設定研修を導入する必要があります。
しかし、目標設定を適正に行うことは、経営者から新入社員に到るまで必要なことです。企業としての目標設定どのようなものにするか、その全体目標を受けて、自分自身の目標をどう設定するのかなど、本来は、すべてのビジネスパーソンに目標管理設定研修は行われるべきとも言えます。
目標設定行う目的・メリット
(1)目標設定の手順
目標設定は、全体から部分へ、中長期から短期へという順序で目標設定を行ない、一貫性を持たせることが必要です。長期的な目標である組織の経営理念・ビジョンなど実現したいゴールがない状態では、チームや個人は目標に意義を見出しづらくなります。又、目標達成は、各個人として目標を達成することで、チーム・組織の年度計画が達成でき、将来的に全社のビジョンの達成に繋がらなければ、適切な目標であるとは言えません。したがって、「個人やチームの目標達成が組織の目標達成につながる」「組織の目標達成が企業のビジョン実現につながる」という環境を構築することが、目標設定の基本と原則です。
(2)目標設定を行うメリット
目標設定を行うメリットとして、大きく次の4点が挙げられます
①組織全体のビジョンや方向性が浸透する
目標設定を行うためには、経営理念やビジョンに基づき、中長期の計画が策定され、更に単年度計画・部門計画・個人計画に、ブレイクダウンされなければなりません。その過程で、自然と組織全体の理念やビジョンが浸透していくことになります。逆に、ビジョンと目標が連動していない場合には、たとえ個人の目標達成が出来たとしても、全体としては未達成となったり、将来的な企業のあるべき姿とはギャップを生じる可能性もあります。
②モチベーションの向上
上司とメンバーがよく議論し、納得感がありかつメンバー自身の成長と組織への貢献が見込める目標設定を行うことが出来れば、従業員のモチベーションが向上することが期待されます。又、目標を達成するために克服すべきメンバーの課題やそのサポート体制も明確になってくることから、メンバーの成長支援にもつながります。
③自律性の向上
目標設定を行うことによって、メンバー自身が、目標を達成するためには何をしなければいけないのかが見える化できます。見える化することで、メンバーの目標達成に対する意識向上に繋がるだけでなく、自律性も向上します。又、目標に向かって日々の業務を遂行していくことによって、普段気にしていなかった無駄な作業などが効率化されるなど、様々なメリットも得られます。
④組織の目標達成の可能性が高まる
メンバー各自の目標がチーム内で共有されることで、目標達成に対する責任感と組織のために行動するという貢献意識が高まり、組織としての目標達成の可能性が高まります。
目標設定のポイント
目標設定の手法で有名なものに「SMARTの法則」があります。
SMARTとは、
・Specific:「具体的、分かりやすい」
・Measurable:「計測可能、目標が数字になっている」
・Achievable:「同意して、達成可能な」
・Relevant:「関連性」
・Time-bound:「期限が明確、今日やる」
それぞれの頭文字を取った言葉で、SMARTの法則は、目標達成の精度を格段に高めてくれる力を持っています。それでは、具体的に見ていきましょう。
①Specific(具体性)
目標は、具体性を持ったものでなければなりません。目標が抽象的では、目標を達成する具体的な行動も抽象的になりかねません。
「何をどのような状態にするのか」を具体的に表現することが、目標を達成するために重要です。例えば、「契約数を増やす」ことを目標とした場合、新規顧客での契約数なのか、既存顧客での契約数なのか漠然としていると、どのような行動をとるべきかも漠然となってしまいます。「毎月の契約数を新規顧客で●●から××まで増やす。既存顧客で○○から▲▲まで増やす」というように、できるだけ具体的に設定します。そうすることで、新規に対する広報活動や得意先のニーズを汲み取った企画立案などのアクションプランにブレイクダウンしやすくなります。
②Measurable(計測可能)
目標は、数値化でき計測可能でなければなりません。目標がどれだけ達成できているのか、誰が見ても客観的にわかる状態にしておくことが大切です。数値化することがどうしても難しい場合には具体的に進捗状況を表現することで、達成できるかどうかの判断を行えるようにします。たとえば、「顧客への訪問件数を増やす」という場合と、「週に新規顧客は○○軒、既存顧客は▲▲軒訪問する」を比較すると、前者は測定できる目標設定となっていないため、PDCAを回すことが出来ません。測定可能な目標とすることで、目標に向けて実際に実行できたかを検証できるようになるのです。
③Achievable(達成可能性)
目標は、頑張れば達成可能なレベルでなければなりません。非現実的な目標を設定してしまうと最初から諦めてしまうことや、達成に向かう道筋が見えず、モチベーションの低下によって生産性が低下し、目標設定自体が逆効果になりかねませんので注意が必要です。
④Relevant(関連性)
個人が立てる目標が、会社全体の事業計画や理念などの方向性と一致又は関連していることが重要です。もし、乖離している場合には、各メンバーがそれぞれ目標を達成したとしても全体としては不適切な結果となる可能性があります。単に個人の目標を達成するだけでなく、目標を達成した先には何があるのか、何のために目標を達成するのかという目標の達成と企業の大きな目標との関係性が明確になることで、モチベーションの向上が図れるのです。
⑤Time-bound(期限)
目標には必ずゴールとする期日を設定することが必要です。人は期限を設定するからこそ、集中して業務に取り組め、モチベーション高く物事に取り組めます。又、明確な期限を設けることで、期限から逆算して行動計画を立てることが可能となり、行動計画を見える化することで、先ほどご説明したように、メンバーの自主性が高まります。
目標による管理(MBO)とは
目標設定を行い、その進捗をマネジメントしていくことは重要です。但し、その際の考え方として、しっかり身に付けていただきたいのが、「目標による管理」というマネジメント手法です。「マネジメントの父」「マネジメントの発明者」として知られているドラッカー氏の名著「現代の経営」において、MBO(目標による管理)という概念が登場しました。MBOは、正式名称を「Management by objectives and self-control」と言い、直訳すると「目標と自己統制による管理」となりますが、一般的には「目標による管理」と言われています。ドラッカー氏は、「目標による管理」について次のように述べています。
①組織の統制手段としての目標
「事業が成果をあげるには、一つひとつの仕事を事業全体の目標に向けなければならない。」「期待すべき成果は事業の目標に基づいて決められる。」
②自己統制手段としての目標
「目標管理の最大の利点は、支配によるマネジメントを自己管理によるマネジメントに代えることにある。」「自らの仕事ぶりを測定されるための情報を、早く得ることが必要である。」「情報は自己管理の道具であって、上からの管理の道具にしてはならない。」「人は自らの仕事について情報をもつとき、初めてその成果について全責任を負うことができる。」
③コミュニケーションにより目標の納得感を醸成する
「年に二回「マネジメント・レター」なるものを書かせている組織がある。」
「上司が目標とすべきものと、自らが目標とすべきものを書く。期待されていると思う水準を書く。目標を達成するためになすべきことと障害になっていることを書く。組織と上司が行っていることのうち、助けになっていることと妨げになっていることを書く。自らの目標を達成するために、次の一年間に行うべきことを提案する。この手紙が上司に受け入れられたとき、それは憲章となる。」
以上のように、ドラッカーにとって、目標による管理は、一人ひとりが立てる目標が会社全体の目標にリンクしていることを前提とした、「Management by objectives and self-control」のself-controlを重視したものであると言えます。また、管理者の役割は、目標の適正度を確認するとともに、障害を取り除くなどのサポートを行うことを示しています。この考え方をしっかり理解していただいた上で、目標面談についてポイントを説明します。
目標面談のポイント
目標設定を行う場合、上司の一方的な目標の押し付けとなると、従業員のモチベーションや生産性が低下してしまうため、注意しなければなりません。目標やその達成基準が曖昧になっていると、上司が下す評価と部下が自分で考える評価に隔たりが生まれてしまい、お互いに納得できずに信頼関係が損なわれる可能性があります。
目標が面談において重要なことは、次の2点です。
❶各従業員が自主的に目標を定めること
❷評価に対する納得感をもってもらうこと
そのために、必要な手順をご説明します。
(1)前期のフィードバックと役割期待の明示
目標の設定は、まず、メンバー自身が目標を定めますが、各メンバーの個人目標の合計が組織目標に達しない場合や、組織として期待する役割期待と大きく異なる場合があります。このような状態に陥らないためにも、目標面談の前に、前期のフィードバックと共に、今期会社が期待している役割や、組織として達成すべき目標をメンバーに伝える必要があります。前期に順調に目標を達成できたのであれば、さらに高い目標を達成するにはどうすればよいか、また目標を達成できなかった場合は、その原因を究明することで、今期の課題が明快になり、フィードバックの内容は充実していきます。
(2)目標の共有
部下が定めた目標を確認し、目標を設定した理由や根拠を聞きます。理由や根拠が定かでない場合は、目標達成に向けた道筋が見えていない可能性が高いことから、目標そのものに対してではなく、目標の設定方法についてアドバイスを行います。その際、部下が話している間は、上司は傾聴することが重要です。コーチングの手法を用い、本人に考えさせ、自身で答えを出すよう導くことが本人の納得感を醸成するために必要です。
(3)目標の再設定
上司のフィードバックを受けた部下は、必要に応じて目標を修正します。あくまでも、最終的に部下が設定した目標を上司が承認するという形を目指します。