シニア研修

経験という財産があるシニア(定年前社員)として、認識すべき視点やこれから取り組むべきことを習得する

シニア(ベテラン)社員とは

(1) シニア(ベテラン)社員に求める役割
シニア(ベテラン)社員は、組織に属する55歳前後以上の方を主に指します。業界や会社での知識や経験が豊富なシニア(ベテラン)社員の皆さまには一般的に以下のような役割が期待されています。
 ・今まで得た「知識、技術の伝承」と「後輩(後継)メンバーの育成」
 ・会社や組織の方針に基づいて課題を明確にし、周囲をサポートしながら業務を遂行する
 ・今まで培った人的ネットワークを活用し、組織運営が円滑に進むようフォローする
 ・自分のモチベーションを維持しながらポジティブな気持ちで仕事と向き合う

(2) シニア(ベテラン)社員の意識転換
シニア(ベテラン)社員の多くは、役職定年を迎えたり、組織での役割や自分の立ち位置の変化を経験しています。
それは例えば、
 ・リーダーという立場からフォロワーになった
 ・今までは業務を管理されていなかったのに、今後は報告が必要になった。

といった業務に関わる変化もあれば、
 ・責任とポジションがなくなったことにより「もう自分は長年勤めてきた会社から期待されていない」と思う
 ・上司が自分より年下で居心地が悪い    

などのモチベーションに関わる変化もあります。

このような変化に柔軟に対応できず、組織に対する批判的な言動や行動をとったり、現状に固執して何も行動しないなどのネガティブな行動は更に組織から敬遠される存在となります。フォロワーの一員ということを理解し、部下や後輩を率いてマネジメントを行うのではなく、今までの経験を活かし、周囲をサポートすることが、シニア(ベテラン)社員に求められる新たなリーダーシップと心得ることが必要です。また、ストレスやモチベーションを維持、コントロールすることも重要です。

 

研修の狙い

  • これまでの自身の経験・知識・ノウハウの継承という社員教育の仕事を通じて自分の居場所=存在理由を見出し、定年を迎えるまでの自身の在り方を認識する
  • 今までとは立場が違うという現実を直視し、今までと立ち位置を変えることを十二分に理解・納得した上で、取るべき行動を理解していただき、モチベーション向上へつなげる

プログラム

※内容は、貴社のご要望に応じ、カスタマイズが可能です。
※時間の目安は10:00~17:00です。

1.このままでは「現場の将来が危うい」と思いませんか【講義・個人ワーク・グループ討議】

(1)我が社を取り巻く環境の変化
(2)我が社・自部署の強みと弱み
(3)我が社・自部署において危惧される「不安」と「不足」は何か?

2.次世代へ知恵・ノウハウの伝承こそ、私たちの使命【講義・個人ワーク・グループ討議】

(1)自分は「何のプロ」なのか?
(2)現状最適化の視点で私たちにできることは何か?「不」の解消策

3.現実を直視し、私たちの「これから」を考える 【講義・個人ワーク・グループ討議】

(1)「これから」変わるべきところ、変えるべきところは何か
(2)「これから」言ってはならないこと、言うべきことは何か
(3)「これから」やってはならないこと、やるべきことは何か
(4)「これから」の私たちの立ち位置とルール、行動の約束

4.私たちの使命=会社の「これから」を担う人財を育てる

(1)会社の「これから」のために、自らの力を発揮しよう!
(2)いつまでも“青春”!「これから」がビジネス人生の集大成だ!

5.まとめ

シニア(ベテラン)社員に求められる能力・スキル

(1) 役割に合わせた新しい人間関係の構築とコミュニケーション術
前述のとおり、役割が変わったことにより今まで関わることが少なかった現場の方や若手、新入社員ともコミュニケーションを取る機会が増えます。そこでは以下のような能力が求められます。

① 相手の話を最後まで聞いた上で、共感、承認し、適切な質問を通して業務を再認識、把握するためのコミュニケーション能力

今までの数々の経験から、相手がすべてを話さなくても理解ができる部分があるかもしれませんが、新しい人間関係を構築するにあたって途中で話を遮る行為は相手に不快感を与えます。もし相手が年下であれば次から相談しづらくなるかもしれません。
途中で話の内容や結論が理解できたとしても、最後まで話を聞いた上で、相槌を打ったり、感じ取ったことを丁寧に相手に伝え返していく(オウム返し)などで共感し、認めることが重要です。
その後、質問をすることで自分と相手の理解や認識に相違があることが分かったり、時には追加での情報を得ることができる可能性があります。そうすれば今までマネジメントで現場の詳しい業務を理解していなかった場合でも、業務のコツを知ることができるなど理解度が深まります。
また、適切な質問をすれば、時には相手自身も一度立ち止まって業務を振り返ったり、考えてもらうことができます。そこから更に効率の良い方法が思いついたりする場合もあり、後述する後輩育成に繋がります。

② 今までの業務知識から関係部門との調整を円滑に行うコミュニケーション能力

業務の全体像を把握していたり、専門知識や経験値が豊富なシニア(ベテラン)社員には関係部門と調整を円滑に進める能力が求められます。
関係部門との調整を円滑に行うためには、話を分かりやすく伝えたり、状況や事象を客観視し、時には更に人を巻き込むためのフォロワーシップが求められます。

③ 任せられている仕事の進捗報告や不明点、困ったことや要望を相談するコミュニケーション能力

今までは仕事の進捗を管理する側でしたが、今後は管理される側になります。そこで必要となるのが、「報告・連絡・相談」です。これまでは報告・連絡・相談を受ける側でしたが今後は行う立場ということを意識することが必要です。
別ページにて報連相については記載しております(報連相研修ページ)。
任せている仕事の進捗状況や結果を適宜報告したり、事実情報を関係者に伝えるなどを徹底し、周囲に安心感を与えることが求められます。また、相談では、多くの情報の中から自部署のビジネスに有効、有益な情報を選択して収集した上、分析し相談の際にアウトプットすることが求められます。

(2)今までの知識を活かした後輩(後継)メンバーの育成
 
 今までより現場の業務に携わる機会が増えるシニア(ベテラン)社員には現状の業務を把握することに加え、これまで培ってきた知識やノウハウを後世に伝える必要があります。

その際に、自分が詳しく知っている業務であればあるほど、大雑把に教えがちです。まずは教える業務における行動(動き)を細かく分解した後に特に重要である点や間違えられない点を洗い出し、重点的に伝えるようにすることが大切です。
また教えるメンバーの特性やできることを把握しておけば、よりそのメンバーに合わせた教え方ができるため効率的な指導が可能です。

(3)新しい立場・環境に合わせた業務遂行と学び直し(リスキリング)

上述(1)にて業務把握をすることで、新たな知識や技術が必要になるケースがあります。
そこで昨今注目を集めているのが、リスキリングです。
リスキリングとは職業能力の再開発や再教育を指す言葉です。リスキリングが注目された背景としては、各企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化が進む中、多くの企業がDX人材の不足という問題に直面しました。DX人材の採用がすぐにできない現状において、各企業内で育てるということが急務となりました。そこで2015年以降、欧米で広まってきたリスキリングという言葉が注目をされるようになりました。

シニア(ベテラン)社員にとってもリスキリングは重要です。リスキリングの背景はDX化に伴うものですが、「新しい職業に就くために、あるいは今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために必要なスキルを獲得する」という定義だからです。
各企業や業種によって、求められるものが変わってきますが、ExcelやWordなどのPCスキルを向上させることでもシニア(ベテラン)社員には必要なことかもしれません。

 

シニア(ベテラン)研修の目的と内容

シニア(ベテラン)社員の研修では、自分を取り巻く環境を理解していただくとともに、求められる役割をご認識いただきます。
その上で、これからどのように仕事に取り組むか、また周りの人とどのように人間関係を構築するのかを考えていただきます。

その際、各々の強みを最大限に発揮していただくためにこれまでの経験の棚卸を行うことが一般的です。

そこでは、これまでのキャリアに関する問いとして
・自分は何が得意か?
・自分は本当のところ何をやりたいのか?
・何をやっている自分に意味や価値を感じられるのか?
といった問いから、個人のキャリアの基軸(キャリア・アンカー)を探ります。

エドガー・シャインによると、キャリア・アンカーは以下の8つに分類されます。

キャリア・アンカーを開発することによって「本当の自分」を知り、自分らしいキャリアの歩み方を考える材料にすることが可能となり、自身の姿や持ち味を明確に把握することができます。そこから将来の抱負を考えたり、将来の探索を行ったり、自分の今置かれている環境で強みを発揮するための具体的な行動指針を作成します。
 行動指針の中には、後輩(後継)メンバーの育成や周囲をサポートしながら業務を遂行する組織運営のために自分ができることは何か?など、具体的な場面を想定することですぐに実践できるようになります。
併せてこれからもモチベーションを高く業務遂行を行う方策を仕事の面からだけではなくライフ(日常生活)からも模索することでこれからの老後に備えた不安も解消し、イキイキと働けるようなカリキュラムで進めます。

 

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