講師コラム

「多様化の時代に求められる上司力(ダイバーシティ・マネジメント)」
第4回(全4回)

2017/08/21

前川 孝雄

株式会社Feel Works 代表取締役
株式会社働きがい創造研究所 会長

第4回:「まとめ:ダイバーシティ時代に求められる上司力とは」


【1.ダイバーシティ時代に求められる組織とリーダーシップ】
ダイバーシティとは「多様性」のことです。これからの企業・職場では、シリーズ3回で見てきた若手、女性、シニアを始め、性的マイノリティや障害者、外国人、また派遣社員やパート・アルバイトなど、多様なメンバーを束ねながら成果を上げていくことが、求められてきます。そのためには、かつての「ポストと報酬」で動機づける「ピラミッド組織」から、「組織の目的」を中心に「個々の尊重」で多様なメンバーを動機づける「サークル型組織」への転換が不可欠だと私は考えています。そして、そこで上司に求められるのは、メンバーそれぞれの強みや持ち味を活かし、導く「共感・引き出しのリーダーシップ」なのです。


【2.「コミュニケーション・サイクル理論」とは】
そこで、私たちFeelWorksが提唱するのが「コミュニケーション・サイクル理論」です。これは、私たちが提供する研修やコンサルティングでも土台となるものです。人は、自分と異なる背景や価値観を持つ相手には拒否感を抱きがちです。しかし、相手との違いを認め、その背景にある価値観を知ることで、相手への理解が深まります。その上で、相手とわかり合い共に歩むための、上司としての「あり方」を定めます。そして、見出した「あり方」に基づいてコミュニケーションの「やり方」を変えるのです。
それでは、この4つのサイクルについて、少し詳しくみてみましょう。


【3.①違いを認め、②相手の価値観を知る】
現代の組織とは、多様な価値観を持つ人の集まりです。価値観の異なる人同士が、互いに「自分はこうだから、相手も同じに違いない」と疑いなく思い込む。コミュニケーション不全の多くは、一人ひとりのこういう自分本位な考え方から始まるものです。そこで、まず「自分と相手は違う」ということの認識・理解が大切です。「違い」を認める、認め合うことこそが、組織内の人間関係におけるスタート地点です。上司として、自分とは異なる部下の個性や特徴をそのまま、冷静に受けとめてみましょう。
違いを認めることができたら、次はその背景にある「価値観」を知ることが大切です。 「部下はどういう思いや考え方、行動スタイルを持っているのか?」「喜怒哀楽(感情の動き)のポイントはどこにあるのか?」「どのような好き嫌いがあるのか?」といったことに関心を寄せ、深く感じ取り、理解に努めます。そこから、上司が部下のありのままを認め、尊重する意識が芽生え、歩み寄ろうとする気持ちが生まれてくるのです。


【4.③「あり方」を定め、④「やり方」を変える】
歩み寄りの気持ちが芽生えてきたら、次は上司である自分自身がどのような信念や指針に基づいて、部下と向き合っていくかという「あり方」を定めていきます。価値観の違う人と向き合うとき、迷いながらも歩み寄ろうとするときに“拠りどころ”となるのが、自分なりの「あり方」です。上司・管理職であれば「指導理念」ともいえます。これを明確にすることで「対応は柔軟でも、根っこはぶらさない」というコミュニケーション・スタイルを確立することが大事です。
自分の「あり方」を確立させたら、最終段階として、既存の手法、「やり方」を見直すことです。上司としての部下へのコミュニケーションやマネジメントの手法として、明日からどのように実践していくか、具体的で現実的な方法を決めていくのです。


シリーズ1回から3回でお伝えしてきた、それぞれの部下に対する具体的な「あり方」や「やり方」は、これまで私たちが支援してきた多くの管理者・上司の方々から得た知見や情報を基にお勧めする内容です。しかし、最も大切なことは、あなた自身が、あなたの職場で、共にいる部下とともに、あなたらしい「上司力」~上司としての「あり方」と「やり方」~を創り上げていくことです。ぜひリーダーとしてさらにステップアップするためにも、ご自身の「上司力」を確立し、磨いて、ダイバーシティ時代にふさわしい「働きがい」あふれる素晴らしい職場・現場を創ってください。


(全4回終了)

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