講師コラム

人が育つ効果的な教育体系の作り方

2017/06/19

宮川 淳哉

株式会社ワンネス・コンサルティング 代表取締役
中小企業診断士・米国NLP協会認定マスタープラクティショナー

 貴社では「社員教育や人財育成がうまくいっている」と自信を持って言えるでしょうか?


 中小企業における教育体系・教育制度には主に3つの問題点が見られます。

●問題点1:目的なしで単発実施の「手段ありき」教育
「What(何を)」が抜け、「How(どうやって)」のみが検討され、「点」で教育や研修が行われがちです
●問題点2:気づいた時に行う「思いつき」教育
計画的、定期的に教育をするのではなく、「気づいた時」に教育を実施しがちです
●問題点3:学んで終わりの「やりっぱなし」教育
本人の実践、上司のフォロー、継続の仕組みがないままの自己満足な教育に陥りがちです。

 その結果として、教育の成果や効果が十分に得られないまま、「現場が忙しいから教育に時間を割けない」「研修と実務に連動性がないので意味がない」「仕事は現場で覚えるものだ」という言い訳や自己正当化がまかり通り、「人作りが重要」「人が命」と言いながらも、教育や育成がないがしろにされている職場がいかに多いことでしょう。


 それでは、企業におけるそもそもの教育の目的とは何でしょうか?
 教育の目的は、「会社が社員に求めることができるようになるために社員を育成する」ことです。
 そして、「会社が社員に求めるもの」とは、「社員に求めるものを実行・達成することで業績が向上し、会社が成長する」という経営レベルのサイクルが成り立つものでなければなりません。そのサイクルの中で、教育体系・教育制度は次のように位置付けることができます。


 
1.人事制度によって、会社が社員に求めるものを明確にする(期待要件の明確化)
2.社員に求めるものの発揮度合い・行動度合い・達成度合いを評価する(人事評価制度)
3.「1.社員に求めるもの」の育成・教育を行い、実践と継続を促す(教育体系・教育制度)
1)「1.社員に求めるもの」の対象者全員の底上げ(=いわゆる階層別の教育)
2)「1.社員に求めるもの」と「2.個々人の発揮度合い、行動度合い、達成度合いの評価」のギャップの解消(=個別課題解決のための教育)
4.社員に求めるものを実行・達成することで業績が向上し、会社が成長する


「社員に求めるものを明らかにして、その発揮度合い・行動度合い・達成度合いを評価し、求めるものと現状のギャップを埋めるための教育を行い、実践と継続を促し、業績向上と会社の成長を実現させる」というサイクルを人財育成の本質と考えると、冒頭で紹介した「手段ありき教育」「思いつき教育」「やりっぱなし教育」がいかに中途半端で非効率的な人財育成であるかがわかります。
 これからは、


●研修やセミナーへの参加が、学んで終わりの一過性の個人学習ではなく、本質的な社員の成長につながる
●社員の成長が、個人の成長に留まらずに、実際に会社の業績向上や組織成長につながる
ような、社員教育・人財育成の方程式を確立する必要があります。

 以上の考え方を踏まえて、人を育てるための効果的な教育体系の構築には次の3つの要件が必要です。


1.目的から逆算しての教育体系構築
1)理念、ビジョン、戦略方向性から逆算・因数分解して社員に求める能力・スキル・行動・役割を明確化
2)社員に求める能力・スキル・行動・役割を、等級別要件基準、スキルマップ、行動指針、期待役割などの形で明文化
3)2)を習得・育成するための教育内容を体系化し、目的と手段の関係を明確化
(社員に求める能力→そのための教育内容 という紐付けがされていることが「体系的」であることの条件です)


2.計画的・定期的な教育計画作り
1)会社としての、年間単位でのOFF-JT(研修や勉強会などの職場外教育)の計画化(必須研修と任意研修に区分けする)
2)部門・チーム内でのOJT(上司や先輩による職場内教育)の標準化と計画化
3)1)と2)に基づき、個人別に、あるべき姿と現状のギャップを把握した上での個別育成計画と実行


3.実践・継続の促進と学びの横展開の仕組み
1)本人の教育実施後の報告と実行宣言→1ヶ月後の振り返りと評価
2)上司の実践フォロー(仕事のアサイン、経験・体験→気づき・振り返り→教訓化の促し)
3)社内での学びの共有化・横展開の仕組みで、個の学びをチームへ拡散


 

以上の3点のポイントを押さえて、「人材育成→業績向上・会社成長」という経営の流れを実現しましょう。


以上

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