講師コラム

新人を育て、定着させるためのメンター制度
第2回(全2回)

2017/11/27

大軽 俊史

ビジネスディベロップサポート 代表

第2回:「メンティとの信頼関係構築と面談」

1.メンタリングコミュニケーションによるメンティとの信頼関係構築のポイント

(1)メンタリング機能(メンターの使命)とは?
 メンタリング機能の本質とは、「会社・部門方針に則る目標管理のPDCA」、また、「部下が担当する業務上の知識や技術を指導する」ということではない。これはOJT指導の領域である。メンタリング機能とは、業務内外問わず、部下との雑談機会、部下の悩みや将来の夢、また、やってみたい仕事を聴いてあげることにより、精神的支柱になることである。職場での不安を払拭し、安心感を与えるコミュニケーション機会の創出とも定義できる。メンターの役割とはまさに、普段の何気ないコミュニケーション機会を設けることである。具体的なコミュニケーションの取り方について以下、述べていく。


(2)メンタリングコミュニケーションに「魔法の言葉」は存在しない!大切なのは多頻度!
 メンタリングコミュニケーションの具体例を挙げると以下のような言葉が該当する。
■ 「昨日の研修どうだった?」
■ 「初めての出張お疲れ様!緊張した?」
■ 「○○で悩んでいた件はもう解消したの?」
■ 「△△さん、最近、元気がないようだけど、どうしたの?良かったら話を聞くよ!」
■ 「風邪はもう完治した?」「昨晩も遅くまで頑張ったみたいだけど体調は大丈夫?」
■ 「よかったら○○の本を読んでみる?前に自分も読んだけど参考になったよ」
■ 「夏季休暇は楽しかった?また、旅の思い出を聞かせてね」
■ 「将来的には、どんな仕事をやってみたいの?」
■ 「△△さんと上手くいってないの?具体的に何があったのか聴かせて・・」
■ 「来月に、他部門の△△さんと勉強会をやることになっているけど、良かったら一緒にどう?」
■ 「もう、入社してから3ヶ月が経ったね。どう?何か、困りごとや不安はない?」
 メンターによるメンティとのコミュニケーションとは、これらの言葉を掛けることである。これらの言葉の一つひとつは決して特別な言葉でないことは一目瞭然である。大切なのは、業務上の指示伝達とは別に、これらの言葉を頻度多く掛け続けることである。「言葉の頻度=量」が、「メンターとメンティ」の信頼関係構築に繋がる。メンターによるメンティとのコミュニケーションのポイントは「質」・「時間」ではなく、「頻度・量」と言っても過言ではない。


2.メンタ-によるメンティとの面談のポイント

 メンターとメンティとのコミュニケーション機会とは、本来の意味合いでは、畏まった席上での面談機会を設けることではなく、立ち話やメール上でのコミュニケーション、ランチを取りながらの会話にある。しかし、人事施策におけるメンターとしてのミッションを果たす上ではやはり、畏まった面談機会も必要になる。面談時のポイントは次の通りである。

(1) あくまでメンティが中心の会話である。

① メンティとの面談では、まずは、明るく労いの言葉をかけ
「お疲れ様」。
②ポジティブな言葉を投げかける
「毎日、元気に頑張っているね。顔つきが社会人らしくなってきたよ」。
③メンティが今、取組んでいる仕事や学習事項について話を聞いてあげながら
「へぇ~、**の実験に関わっているんだ/**の本を読んでいるんだ」。
④状況に応じて、賞賛の言葉をかける
「それができたのは凄いね/意欲的に勉強する姿勢が凄いね」。
⑤その上で、これからの目標を聴きだす
「3ヶ月後にはどうなっていたいの?/これから習得しなければならない技術って何なの?」。
⑥また、新たな悩みなどが無いかを尋ねてみる。もし、メンティからの質問に対してメンターが即答できない場合があれば、「共育」の考えで、向き合うことが有効である。
「**という質問だけど、今、即答はできないので、少し時間をちょうだい。今週中には回答を出せるように考えてみるね」
「**という質問だけど、ごめん。私も経験が無いのでわからないので、その件に詳しい△△さんに一緒に教えてもらいに行こう」など。


面談プロセスで留意すべきは、メンティから質問が無い限り、メンターであるあなた自身の話は極力、控えることである。主役はあくまでメンティであることを心に留めて頂きたい。


(2) メンターによる傾聴姿勢が重要である。傾聴のポイントは次の通りである。

■最後までさえぎらずに聞く
■メンティの気持ちを肯定しながら、適切な相づち・うなずきをはさみつつ聞く
■共感の合いの手をはさむ「それは困っただろうね」
■メンティの語尾を繰り返してあげる「〜についてどうしたらいいかわからないんだね?」
■メンティの言ったことをまとめて短く返す「○○○ということですね」
■安易な批判や助言を控える
これらを実践すれば、メンティが心を開き、たくさん話してくれる確率が高まる。


3.最後に

メンターは、多忙な業務を遂行しながらのため、多大な負荷のかかる役割である。しかし、メンターのサポートでメンティがイキイキと仕事を熟し、将来的に大きく成長し、「自分にとっての恩師は、新人の時にお世話になったメンターの△△さん」と語り継いでくれるかもしれない。それは何事にも代えがたい大きな喜びになる。そして、その過程で、最も成長できたのは「メンター自身」なのである。「メンターとメンティ」が「共育する」ことを心から願う。


(第2回終了)

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