女性管理職研修
目次
ビジネスセミナー
女性管理職として必要な役割、スキルを女性だから留意すべき点も含めて学ぶ
研修の狙い
- 管理職として必要な役割、スキルを学ぶ
- 業務を行う上で女性だからこそ留意すべき点について学ぶ
- 女性管理職同士のネットワークを構築する
プログラム
※内容は、貴社のご要望に応じ、カスタマイズが可能です。
※時間の目安は10:00~17:00です。
1.女性管理職に求められる役割と心構え
(1) 組織を束ねるリーダーシップ
(2) 組織を導くビジョンと計画、そして実行
(3)組織を発展させる問題解決と意思決定
(4)自分の後任を育てる部下育成
2.女性管理職が発揮するリーダーシップとは
(1) リーダーシップとは何か
(2) リーダーシップの類型、ステレオタイプの性別リーダーシップ
(3) 自分らしいリーダーシップの発揮の方法とは
3.女性管理職に求められる問題解決力・意思決定
(1) 問題解決のスキル(ロジカルシンキング、クリティカルシンキング)
(2) 意思決定の行い方とは
(3) 問題解決を行い意思決定をする事例研究【残業を減らし休みやすい職場を実現するための問題解決と具体策の決定】
4.女性管理職の部下育成方法
(1)人を育てるステップとは
(2)部下別育成法
(3)リーダーに必要なティーチング、コーチングスキル
(4)部下のロールモデルとなるために必要なこと
5.自分を見つめなおし、今後のプランを作成する
(1)今までのキャリアを振り返る
(2) 自分の思い込み、傾向を知る
(3) なりたい管理職像、ロールモデルを設定する
(4)自分自身のネットワーク・応援者を確認する
(4)本日学んだことをもとに、今後のマネジメント計画を作成
6.まとめ
日本における女性活躍の状況
1986年に男女雇用機会均等法が施行されて以降、育児・介護休業法、次世代育成対策推進法など、雇用における男女格差問題や女性の社会進出を図るさまざまな対策がとられてきました。これらのおかげで日本における全就業者に占める女性の割合は、近年は約半数となり、諸外国と比較して大きな差はなくなっています。
しかしながら、制度を整備することで仕事と家庭の両立支援には力を入れたものの、長時間労働や男性中心の組織文化が根強く残っている影響で、女性が管理職への昇格を希望しない傾向もあり女性活躍推進は進みませんでした。
その結果、管理職に就く女性の割合は諸外国ではおおむね30%以上となっている一方で、日本は13%程度と諸外国と比べて低い水準になっています。(参考:(独)労働政策研究・研修機構「データブック国際労働比較2023」)
女性活躍推進および女性管理職が求められる背景
1)女性活躍推進が求められる背景
2016年に施行され2022年に改正された「女性活躍推進基本法」では従業員が101人以上の事業主に、採用者に占める女性比率、勤続年数の男女差、労働時間の状況、管理職に占める女性比率など女性活躍推進に向けた数値目標を盛り込んだ行動計画の策定・公表が義務化されました。
このように女性活躍の推進が急がれる背景には、少子高齢化に伴い深刻化する労働力不足問題があります。日本においては2011年以降人口減少社会に突入しており、今後企業においては「人手不足」の問題が深刻化し、事業継続への支障も生じかねない状況です。
2)女性管理職が求められる背景
「女性活躍・男女共同参画の重点方針2023(女性版骨太の方針2023)」においては、まずは日本を代表するプライム市場上場企業に係る女性役員比率の引上げを図るため、「2030年までに女性役員比率を30%以上とすることを目指す」等の目標を取引所の規則に設けることとし、2023年に東京証券取引所において、所要の上場制度が整備されました。
また、「ジェンダー投資に関する調査研究」報告書(令和4年度内閣府男女共同参画局)によると、投資判断に女性活躍情報を活用する機関投資家等は約3分の2で、投資や業務において活用している情報は「女性役員比率」(79.0%)次いで「女性管理職比率」(65.4%)でした。「執行役員・部長の女性比率」も38.3%の投資家が投資判断に活用すると回答しており、役員だけでなく様々な役職段階の女性割合が活用されています。投資家が、女性役員や管理職の比率に注目する理由は、「企業の業績に長期的には影響がある情報と考えるため」が約75%で最も多く、次いで「企業の優秀な人材確保につながると考えるため」が多くなっています。
近年の研究では単に従業員女性比率を高めるのではなく、女性労働者のうち一定の割合を管理職へ登用し、その率が15~20%になると企業の生産性が向上する可能性があることも示されています(西畑 壮哉・山本 勲「情報開示の有無を考慮した女性活躍推進と企業業績の関係」2021年)。
このように女性活躍推進は人材活用のすそ野を広げ、より多様な人材の能力を活かしていくことで人材不足を補うことに加え、女性管理職の育成・登用は投資家からの資金調達や企業における生産性の向上に寄与すると考えられます。
しかしながら、日本企業においては長らく女性社員の能力開発に力を入れてこなかったため、管理職や役員となりうる女性の層に厚みがないのが現状です。まず、管理職となりうる女性社員のすそ野を厚くするためには、計画的に女性活躍推進を行うことと、すでに管理職に登用された女性社員が、管理職として活き活きと活躍し良きロールモデルとなってもらうことが必要です。女性管理職が活躍することで、自ずと役員となりうる女性社員の層も厚くなるはずです。
以上から女性管理職研修の重要性をご理解いただけるのではないでしょうか。
女性管理職研修を行うメリット
管理職研修は、男女の区別なく実施する場合と、女性に限定して実施する場合があります。もちろん管理職は、組織やチームのリーダーシップを担い、ビジョンや目標を達成するために業務に取組むのが仕事ですから男女で異なる訳ではありません。
では、女性管理職を対象とした研修を行うメリットはなんでしょうか。
例えばリーダーシップの取り方にしても、女性管理職のロールモデルが少ない中では、男性管理職を参考にすることになりますが、それでは、違和感を感じてしまう女性管理職も少なからずいます。
女性管理職研修を行うことで、女性ならでは留意事項にも配慮した研修が行え、又、同性間で悩みをディスカッションできることから、実際に弊社の女性管理研修に参加された方の満足感が高いという結果が出ています。
女性管理職研修の主要な内容
それでは、女性管理研修の主要な内容について、説明していきます。
1)リーダーシップ
管理職としてチームや部署の方向性を設定し、メンバーを指導し、そして、チームのモチベーションを維持し、育成や成長をサポートします。その際に重要なのが自分の強みを活かしたリーダーシップを発揮することです。現在のように管理職の大半が男性だと、つい力強い男性的なリーダーシップを参考にしてしまい、その結果自分らしさとのギャップに悩むことがあります。また、リーダーになると職務上ステレオタイプ的な「優しく協調的な女性像」ともギャップが発生する場合もあるでしょう。同性のロールモデルが少ないため、自分がどのようなリーダーシップをとればいいのか迷いがちになります。
そこで自分の弱み強みを把握し、自分の強みを生かしたリーダーシップのとり方を学ぶことが重要です。
2)計画と戦略と予算管理
管理職として組織の戦略や目標に基づいて計画を策定し、プロジェクトや業務プロセスを効果的に管理し、適切な方針を確立する方法を学びます。また、プロジェクトや部門の予算を管理し、コストコントロールを行い、組織のリソースを効果的に活用することについても習得します。
3)問題解決・意思決定
管理職は様々な複雑な問題に対して部下と共に解決策を考え実行するのが任務です。また、チームやプロジェクトに関する重要な決定を迅速かつ的確に行っていくことも重要です。女性社員は男性社員と比べて配置転換の経験の幅が少ない場合が多いため、配置転換により多種多様な経験を積んで問題解決や意思決定の業務スキルを向上させてきた蓄積が少ないことが考えられます。このため、問題解決や意思決定のルールを学び、それを活かしながら数多くの問題解決や意思決定を行って経験を重ねることで、迅速な問題解決と正しい意思決定を行えるようになることが重要です。また、このことにより業務に対する自信がつき、自己効力感が高まると思われます。
4)人材育成
自分の部下のモチベーション向上を図り、少しストレッチした業務を与えることで、能力開発の機会を提供し、人事考課やフィードバックを行う方法について学びます。部下の人材育成を行う際には、自分が女性部下のロールモデルになるつもりで行動することが理想です。
5)ワークライフバランスの実現
女性活躍推進を行う上でワークライフバランスの実現は必要不可欠です。また、若い男性社員は家事・育児等への参画意欲や育児休業取得意欲も上の世代と比較して高く、仕事時間を減らしたいと考える傾向が強いことがわかっています。このことからワークライフバランスが実現できる職場をつくることは女性活躍推進にとどまらず、若手男性社員のモチベーションアップにもつながると言えます。このため、部下の業務量を調整して長時間労働を是正し、休みを取りやすい職場をつくるための問題解決や意思決定の方法について研修で学び実行する事が現在求められています。
6)自己効力感の向上
女性に見られる傾向に「インポスター症候群」などがあります。インポスター症候群とは、成功をおさめ周囲から評価されても「運が良かった」「自分の実力ではない」と思い込みと言った自分に自信がない心理傾向を指します。女性管理職は自分にこの傾向がないかを確認し、必要以上に自分を卑下せず、自信をもって業務にあたることが望まれます。そのためには自己効力感を高めることが重要です。
自己効力感とは「自分に『ある目標を達成する能力』があるという認知」を指し、自己効力感を高める方法は下記のものを含め複数あります。
(1)達成経験:自分自身が何かを達成したり、成功したりした経験
(2)代理経験:自分以外の他人が何かを達成したり成功したりすることを観察すること
(3)言語的説得:自分に能力があることを言語的に説明されること、言語的な励まし)
これらのことから自己効力感を高めるには、まず自分自身が「困難な仕事・複雑な仕事をやり遂げた」という成功体験を積むために、自ら難しい仕事にチャレンジすること、ロールモデルを設定してそのロールモデルの活躍を観察すること、そして自分自身の頑張りを正当に評価してくれる応援者・ネットワークの存在が必要と言えます。