ダイバーシティ研修
目次
ビジネスセミナー
ダイバーシティ推進の重要性を理解し、リーダーとして多様な人材を活かす組織作りを目指す
ダイバーシティ研修とは
ダイバーシティとは「多様性」を意味します。ダイバーシティ研修は、多様性に関する理解を深めた上で、さまざまな立場の人が働く職場で、それぞれの価値観や考え方を尊重しながら協力して業務を行い、企業競争力を高めていくためにはどうすれば良いかを学ぶことを目的にした研修です。
ダイバーシティ研修は、管理職を主体に実施される企業は多いですが、管理職以外にも、全ての社員に受けていただくことで「誰もが働きやすい環境」を整える効果を一層期待できます。
研修の狙い
- ダイバーシティ(多様性)についての理解を深める
- 多様性を組織に活かす意識を醸成する
- 年齢、性別、国籍、雇用・就業形態等、多様な価値観や働き方を受け入れ、多様な人材が活躍する組織作りを図る
プログラム
※内容は、貴社のご要望に応じ、カスタマイズが可能です。
※時間の目安は10:00~17:00です。
1.ダイバーシティとは
(1)ダイバーシティが注目されてきた背景
(2)企業を取り巻くダイバーシティ推進の目的と意義
(3)価値観・働き方の多様性
(4)多様性を考える【ディスカッション】
①「ある日、上司が外国人になったら」
②「男性社員から育児休暇を取りたいと言われたら」
③「部下からLGBTであると打ち明けられたら」
④「自身が介護のため時短を迫られたら」
(5)ダイバーシティの重要性
2.ダイバーシティを実現するには
(1)自身の価値観を押しつけない
(2)仕事のやりがいと周囲の理解
(3)多様な人材の能力を活用し価値を創造する
(4)多様なキャリアデザイン
3.ダイバーシティに取り組んでいる企業事例の紹介
4.多様な人材を生かすリーダーシップコミュニケーション
(1)マネジメントとリーダーシップ
(2)サーバント(奉仕・支援型)リーダーシップ
(3)観察・共感・傾聴・承認・質問のコミュニケーションスキル
5.ダイバーシティ推進で目指す姿を考える【ディスカッション・発表】
6.まとめ
ダイバーシティに関連する用語や変遷
近年では、「ダイバーシティ」と「インクルージョン」を一組として取り扱うことが多く、「ダイバーシティ&インクルージョン」や頭文字を取って「D&I」を経営課題として挙げる企業が増えていますが、その違いや関係性を正確に理解している方は多いとは言えません。それでは、ダイバーシティ研修の説明に入る前に、それぞれの用語や変遷について説明をしたいと思います。
(1)ダイバーシティとは
ダイバーシティ(Diversity)とは、日本語で「多様性」を意味し、人種・性別・宗教・価値観など異なる属性を持った人々が、組織や集団において共存している状態を示します。ダイバーシティに関する取り組みが始まったのは、1960年代に米国で活発となったアフリカ系アメリカ人による公民権運動からです。人種や宗教、性別に関係なく人は平等であるという訴えから、ダイバーシティが広まりました。
日本において、ダイバーシティが注目されるようになったのは、2000年に入ってからのことです。少子高齢化に伴う労働力確保に向けた解決案として、職場における人材を採用する際の多様化の推進施策が中心であり、それまで主たる労働力とはみなされてこなかった、女性や障がい者、外国人の雇用を重要視する企業が増加しました。現在では、ダイバーシティは、多様な人材を受け入れることは雇用対策や競争力向上につながることから経営戦略の一つとして位置付けられるようになっています。また、ダイバーシティは企業のグローバル化においても、社会的要請に応えるという意味でも軽視できない観点とされています。
(2)ダイバーシティの種類
ダイバーシティは時代の変遷とともに、人種や性別など限定的な属性から個人の持つあらゆる属性の次元へと拡大しています。この属性をいくつかの切り口で分類することが出来ますが、ここでは、組織マネジメントの視点から「表層的か深層的か」、「可視的か不可視的か」という視点に基づき分類する例を示しします。表層的(可視的)なダイバーシティとは、性別、人種、国籍、年齢、身体的な特徴など外見で識別可能な属性です。
一方深層的(不可視的)なダイバーシティとは、価値観、態度、嗜好、信条、職歴、スキル、パーソナリティ、仕事観、文化的背景といった内面上の属性で、外部からは識別しにくい属性を言います。
職場でのダイバーシティを考える上では、表面に現れにくく、理解するのに時間のかかる深層的ダイバーシティをどう活かしていくかが大きな課題となります。
(3)インクルージョンとは
インクルージョン(Inclusion)とは、日本語で「包括」「包含」を意味する言葉です。ビジネスにおけるインクルージョンとは、多様な人材が互いに尊重され、それぞれが能力を発揮できている状態を示します。インクルージョンは、1970〜80年代に活発化したフランスをはじめとするヨーロッパの社会福祉政策の理念がルーツです。1970年代のフランスでは,移民の増加などによる産業構造の変化から長期の失業のために貧困から抜け出せなくなる労働者が多数発生し,この状態はソーシャルエクスクルージョンと呼ばれ社会問題となりました。その対策として、“誰もが社会に参加する機会を有する”というソーシャルインクルージョン(社会的包摂)に基づく施策が展開されたのです。その後は、教育やビジネスの領域へと展開し、国際的に普及してきました。
(4)ダイバーシティとインクルージョンの違い
ダイバーシティとインクルージョンの違いを簡単に言い表すとすれば、ダイバーシティは多様化を認めた上での雇い入れることを意味し、一方、インクルージョンは、雇い入れた人の個々の能力や考え方を業務に活かすという意味であり、厳密には異なります。「ダイバーシティ&インクルージョン」として一体で用いられるのは、多様な違いが受容されている状態(ダイバーシティ)と、違いが尊重され個々が活躍できる状態(インクルージョン)が揃っていることが望ましいからです。なお、日本の企業では、例えば、ダイバーシティ研修やダイバーシティ経営という言葉のように、インクルージョンという言葉を省略し、「ダイバーシティ&インクルージョン」の意味を持たせているケースが見られます。
(5)ダイバーシティ経営とは
ダイバーシティ研修において学んでいただく重要な言葉のひとつに、「ダイバーシティ経営(ダイバーシティマネジメント)」があります。これは、ダイバーシティを活かして組織を強化し、企業の競争力アップにつなげる経営手法を指します。経済産業省では、ダイバーシティ経営を「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」と定義しています。つまり、組織が多様な人材で構成され、個々の人材がその特性を活かし働くことのできる環境を整えることによって、自由な発想が生まれ、新商品や新サービスの開発が進み、自社の競争力強化と生産性の向上が図れるのです。
このことから分かるように、「ダイバーシティ経営」と「ダイバーシティ&インクルージョン」は、ほぼ同じ意味で使われています。ダイバーシティ研修は、ダイバーシティ経営を行うための研修であると言っても過言ではありません。一方、ダイバーシティ経営を進める上で、課題のひとつに挙げられるのが、多様性に関する理解が進まず、対立や誤解を招くことがある点です。調整に時間を要すると、チームの生産性やパフォーマンス低下につながるおそれがあります。又、国籍や人種の違いにより、コミュニケーションがうまくいかないことも懸念材料です。
これらの課題へ対処するため、ダイバーシティ研修を通じて企業全体で、課題への対処法を共有する取り組みを行うことが重要です。
ダイバーシティ研修を行う目的・メリット
ダイバーシティ研修を行うことには、次の6つの目的・メリットがあります。
(1)先入観や偏見に対する意識改革ができる
ダイバーシティにおいて重要である、多様性を認める意識を得るためには、これまで持っていた個人の先入観や偏見を変える必要があります。先入観や偏見を変え、人材が多様であることの重要性に気付くことがダイバーシティを推進する第一歩です。例えば、管理職層が多様性について正しい知識を身につけていないと、従業員を正しく評価することができず、従業員から不満が出て、生産性の低下や離職が生じるリスクもあります。
(2)企業のグローバル化に対応しやすくなる
マーケットを海外に求めるなどのグローバル化を進める企業だけではなく、国内の人手不足に対応して、外国人を採用するケースも増えています。日本人の従業員が外国人と一緒に働く機会が増えるため、無理に現状の組織に合わせてもらうのではなく、多様な価値観や考え方を受け入れる環境を築くことが必要です。ダイバーシティ研修を通して、外国人労働者が、能力を十分発揮するために、外国人が持つ価値観や異文化に対して、どのように対応したら良いかを身に付けていただきます。
(3)生産性の向上やイノベーション創出につながる
多様な考えを持った人材が集まることで、今まで考えがつかなかった斬新的なアイディアが生まれ、イノベーションを創出し生産性が向上する可能性が高まります。
(4)顧客ニーズの多様化に素早く対応できる
ダイバーシティの推進により、女性、外国人、障がい者など、多様な属性・感性を持った人材が社内で自由に意見を出せれば、変わりゆく時代のニーズを迅速に感じ取り、対応できるスピードが高まります。
(5)女性・シニア・障がい者が働きやすい環境を整備できる
ダイバーシティ推進により意識改革を行うことで、女性・シニア・障がい者がイキイキと活躍する環境を整えることが出来るようになります。例えば、女性が結婚や出産など家庭環境が大きく変わる際に、人事制度が整っていたとしても、職場の受け入れ態勢によっては、このまま働き続けるかどうかの決断を迫られることも多いものです。ダイバーシティ研修を通して、働く人の多様性に関する理解を深め、「お互いさま」と言える環境を作ることで、優秀な女性社員が出産や育児で離職することを防げますし、育児に積極的に取り組む男性に対しても、働きやすい職場風土をつくることができます。
また、シニアや障がい者に対しても、柔軟な働き方を認め、能力に合った仕事を割り当てることで、共同体としての意識を持った組織作りが可能となります。
(6)ニューノーマル時代への対応が円滑にできる
ニューノーマルとは、社会に起こった大きな変化がいつの間にか当たり前になり定着することです。ライフスタイルや価値観は働く人によって異なります。職場全体が、その多様性を受け入れ、状況に応じて柔軟にワークスタイルを変えていける環境を整えなければいけません。例えば、コロナ禍の影響で増加したテレワークやフレックスタイム制、育児休暇や介護休暇の積極的取得などは働き方のニューノーマルとして、意識する必要があります。ダイバーシティ研修によって、働き方の多様性を理解する組織風土を醸成することで、従業員は自分のライフスタイルに合わせた働き方を選択しやすくなります。
ダイバーシティ研修の種類
ダイバーシティ研修の基本的なカリキュラムについては、すでにお示しましたが、以下のような研修と組み合わせることで、更に効果が高まります。
(1)女性活躍推進研修(管理職編)
女性が活躍できる組織を作ることの重要性を理解した上で、管理職として女性の活躍によって企業を活性化させるための取り組み方法や活躍できる女性社員を育成するための具体策を学んで頂きます。
(2)ワークライフバランス研修
ワークライフバランスの考え方を学び、仕事と生活の調和が取れた職場の実現を図る研修です。
この研修では、個人のライフスタイルやライフステージに応じた多様な働き方を実現させることで、有能な人材の確保と時間の生産性を高めて業務を効果的にかつ効果的に進める手法を学んで頂きます。
ダイバーシティ研修を効果的に行うポイント
(1)ディスカッションタイムを設けて意見を出し合う
研修参加者は、ダイバーシティに関して、さまざまな価値観や考え方を持っています。研修担当者が一方的に話すだけの研修では、受講者の価値観や考えに触れる機会を得られません。ケーススタディで複数の状況を設定し、どのように対応するべきかを受講者同士で話し合う時間を設けることが必要です。複数の状況を設定し、どのように対応するかを話し合うことで、実際の場面でも活用できますし、他の参加者の考え方に触れることで、自分とは異なる価値観や考え方があることを理解できるようになり、自身の修正すべき点にも気付きが増えるでしょう。
(2)目的を明確にした研修を設計する
ダイバーシティの推進を行う必要性や、推進への取り組みなどを明確にすると、研修の方向性が定まりやすくなります。例えば、育児休暇や介護休暇が申請しにくい状況を改善するためであるとか、女性がより働きやすい職場環境を整えたいなどを目的とする場合は、管理職を対象とした研修から始めましょう。目的を具体化するほど、問題解決につながるダイバーシティ研修を実施できるでしょう。